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本日開幕!男子テニス最終戦・ATPファイナルズ。錦織の出場は叶わず。フェデラーは最多17回目の出場へ

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
開幕前の会見でのフェデラー(写真左)(写真/神 仁司、撮影機材ソニーα9)

 男子ワールドプロテニスツアー最終戦であるNitto ATPファイナルズ(11月10日~17日、ロンドン・O2アリーナ)が本日開幕する。

 ファイナルズは、年間成績上位8人しか出場できないエリート大会で、まさに年間王者を決めるのにふさわしい舞台だ。現に今回は、ラファエル・ナダル(ATPランキング1位、11月4日付け、以下同、スペイン)とノバク・ジョコビッチ(2位、セルビア)が、現在640点差で熾烈な年間1位争いをしていて、ファイナルズの成績如何で、どちらかが2019年シーズンの年間ランキング1位を獲得することになっている。

 一方、昨年出場していた錦織圭(13位)は、ファイナルズ出場争いの指標となるRace to Londonで13位に終わり、2年連続5回目の出場は叶わなかった。

 5月下旬頃からたびたび右ひじにテーピングをしてプレーをしていた錦織は、断続的な痛みに悩まされて、USオープン以降、9月からは戦線を離脱していたが、10月22日に日本で右ひじの手術を決行して、右ひじにあった2本の骨棘を除去した。現在はリハビリ中で、マネジャーによると「良い状態」だという。

 そして、今回のファイナルズで最も注目すべきは、ツアー最終戦でもその存在感を存分に発揮してきたロジャー・フェデラー(3位、スイス)だ。38歳にもかかわらず大会史上最多となる17回目の出場を果たす。

 これまでフェデラーは、ツアー最終戦で大会史上最多となる6回の優勝を誇り、驚くべきことにラウンドロビン(総当たり戦)を戦って、準決勝以上に行けなかったのは2008年大会だけだった。ツアー最終戦でのマッチ成績は57勝15敗という素晴らしいパフォーマンスを見せてきている。

 32歳のジョコビッチや33歳のナダルも依然として強敵であり、フェデラーが、2011年以来となるツアー最終戦での優勝を成し遂げることはもちろん簡単なことではない。

「もちろん優勝できたら、素晴らしいこと。でも、その望みや夢を抱いているのは僕だけではない。だから、どうなっていくか楽しみでもあるけどね」(フェデラー)

 ラウンドロビンでの組分けで、フェデラーは、ビヨン・ボルググループに入り、ジョコビッチ、ドミニク・ティーム(5位、オーストリア)、マテオ・ベレッティーニ(8位、イタリア)と戦うことになった。

 フェデラーにとって、ジョコビッチとの戦いが大きなヤマになりそうだ。今季、ジョコビッチとはウィンブルドン決勝で対戦し、6-7(5)、6-1、6-7(4)、6-4、12-13(3-7)、決勝史上最長となる4時間57分におよぶファイナルセットタイブレーク(2019年大会から初めて導入)の末敗れている。しかもフェデラーには、ファイナルセット8-7第16ゲームで、40-15となって2度のマッチポイントがあった。

「あれは、両者にとって特別な試合だった。ここ(ファイナルズ)で再びノバクとプレーできることに興奮を覚える」(フェデラー)

 もしかしたらフェデラーにとっては、自身の年齢や若手選手の成長を踏まえると、最後のATPファイナルズになるかもしれない。ただ、“ツアー最終戦でのフェデラーは強い”というのも事実で、いま一度、華麗に躍動するフェデラーを見たいと多くの人が願っているはずだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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