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全仏テニス1回戦で、格の違いを見せつけて勝利した錦織圭だが、今後の戦いに向けて修正すべき課題とは!?

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
ローランギャロス1回戦でストレート勝利を収め、2回戦に進出した錦織(写真/神 仁司)
ローランギャロス1回戦でストレート勝利を収め、2回戦に進出した錦織(写真/神 仁司)

 ローランギャロス(全仏テニス)が5月26日に、フランス・パリで開幕した。

 大会初日に登場した第7シードの錦織圭(ATPランキング7位、5月20日付)は、1回戦で、ワイルドカード(大会推薦枠)で出場のクァンタン・アリス(153位・フランス)を、6-2、6-3、6-4で破って2回戦進出を決めた。

 試合内容は、まさに錦織が格の違いを見せつけるような形になった。

 現在アリスは、ツアーよりグレードが下のATPチャレンジャー大会を主戦場としており、ツアーレベルで戦うのは、2018年9月のATPメッツ大会(フランス)以来で、2019年シーズンでは、ツアーレベルで初めて戦う試合だった。

 錦織は初対戦の相手と戦う難しさを感じながらも、ミスが多く粗いテニスをするアリスは、トップ10選手である錦織の敵ではなかった。

「相手のミスは早かったですけど、自分のプレーが彼を焦らせたところもあった。なるべく早いタイミングでプレーできた。たぶん、今のところクレーコートの、ここ2カ月ぐらいの中ですごく良かったので、自信にはなりました」

 アリスは、ウィナーを26本決めたものの、ミスを39本犯し、さらにセカンドサーブでのポイント獲得率は33%にとどまった。

 一方、錦織はフォアのウィナー16本とバックのウィナー8本を含む合計28本のウィナーを決め、ミスは18本に抑えて、ストローク戦ではほとんどのポイントで錦織が支配して、地力に勝る錦織が、アリスを寄せ付けなかった。

 ストレートでの勝利で、「反省点はほぼなかったです」と錦織自身は振り返ったが、錦織の完璧な勝利とはいいきれない部分もあった。アリスのリターンがそれほど脅威ではなかったのにもかかわらず、錦織はダブルフォールトを6回もして、セカンドサーブでのポイント獲得率は48%とふるわなかった。

「ダブルフォールトはなるべく減らしたいですね。特に大事なポイントでは。第3セット目はあれ(ダブルフォールト)でブレークを許したので。なるべく減らしたいと思いますけど。(自分の)セカンド(サーブ)で、彼がリターンで攻め出したところもあったので、攻められると嫌だなとは思っていましたけど、そこまで脅威には感じませんでした。まぁ、サーブの調子は良くなってきています」

 錦織の振り返った第3セット第1ゲームの場面は、錦織が2セットアップしていたにもかかわらず、ダブルフォールトがからんだサービスブレークを許し、アリスが少し息を吹き返すきっかけを与えてしまった。対戦相手のアリスのミスが多かったので、大事には至らなかったが、もし強豪選手が相手だったら、つけ入る隙を与えかねない。2回戦以降、対戦相手のレベルが上がっていく中で、錦織のサーブは必ず修正が必要だ。

 また、1回戦で錦織は、腰にテーピングをしてのプレーだったが、サーブへの影響は、錦織本人からすると「ない」ということだ。

 2回戦で、錦織は、ジョ ウィルフィールド・ツォンガ(85位、フランス)とペーター・ゴジョウジク(96位、ドイツ)の勝者と対戦する。錦織とツォンガの対戦成績は、錦織の5勝3敗。錦織とゴジョウジクの対戦成績は、錦織の1勝0敗だ。

 錦織の2回戦は、2日挟んで、5月29日水曜日に行われる予定だ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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