Yahoo!ニュース

錦織圭、ローランギャロス(全仏テニス)で、V字回復へのきっかけをつかむことができるか!?

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
ローランギャロス開幕前のイベントで、笑顔を見せる錦織(写真中央)。マイケル・チャンコーチ(写真右)とダンテ・ボッティーニコーチ(写真左)(写真/神 仁司)
ローランギャロス開幕前のイベントで、笑顔を見せる錦織(写真中央)。マイケル・チャンコーチ(写真右)とダンテ・ボッティーニコーチ(写真左)(写真/神 仁司)

 29歳の錦織圭(ATPランキング7位、5月20日付)が、9回目のローランギャロス(全仏テニス)に臨む。

 1月に今季開幕戦のATPブリスベン大会で1年11ヵ月ぶりのツアー優勝を果たし、良い形でスタートを切った。オーストラリアンオープンでも準々決勝に進出したが、その試合で途中棄権をしてから、それ以降の大会で精彩を欠く場面がしばしば見られるようになった。それが顕著になったのが、3月下旬のマスターズ1000・マイアミ大会と4月中旬のマスターズ1000・モンテカルロ大会で2回連続となる初戦負けを喫した時だ。

 何度も目についたのは、錦織が負ける時のテニスの内容の悪さだった。試合の勝利やセット取得に直結する自分のサービスでは、ファーストサーブの確率が下がったり、ダブルフォールトをしたりして、相手につけ入る隙を与えてしまった。

 また、錦織の一番の武器であるフォアハンドストロークでミスが早かったり、多くのミスをしたりして、本来の錦織の強さは影を潜めている。

 パリ入りしてから、錦織はローランギャロスの会場で精力的に練習をこなし、ショットのクオリティーは戻りつつある。

「(フォアハンドは)毎日ちょっとずつ良くなってきています。この2~3日かなりしっかりできているので、感覚的にはだいぶ良くなっているので、いい準備はできている」

 また、少し気がかりなのは錦織が腰を気にする仕草だ。腰にテーピングをしている時もある。今のところプレーに大きな影響はないようだが、フォアハンドストロークのミスが多いことと関連があるのかどうかも見守らなければならない。

 今回のローランギャロスで錦織は第7シードになり、大会初日の5月26日に、ワイルドカード(大会推薦枠)で出場のクァンタン・アリス(153位・フランス)と1回戦を戦う。初対戦となるため、錦織は対戦相手の情報があまりない。

「サーブが良くて、ストロークもしっかりしてて、パワーのある選手だと思う。なるべくパワーに負けないようにしたいです」

 対戦相手の動向より、今は錦織が年齢に負けずに今一度トップ10選手らしい強さを取り戻せるかが、ローランギャロスでの上位進出のカギになる。

「(自分の調子は)あんまり悪くはないと思います。試合の中で大事なポイントが取れなかったり、ツアーのレベルも上がってきたりしているので、なかなか簡単な試合が無くなってきているのかなとは感じる。自分のレベルはちょっとずつ上がって来ていると思います。

 もちろん物足りなさは多少あります。自信がたぶん、例年に比べて、結果が出ていない面では、ちょっともどかしい気持ちはありますけど。気持ちの面だったり、自分のプレー内容だったり、自分のプレーに思いきり行けそうだなという瞬間が増えてきたり、ちょっとまだ攻めきれない部分がある時ももちろんあります。大事なのは、この大会(全仏テニス)です。ちょっとずつ自分の調子は上がっているような気がするので、しっかり気持ちを切り替えていくことがすごく大事かなと思います」

 錦織の1回戦は、大会初日の5月26日に行われる。果たしてローランギャロスで、錦織はV字回復へのきっかけをつかむことができるのか注目したい。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

神仁司の最近の記事