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錦織圭、マイアミ準優勝の価値と今後の可能性

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
マイアミでの表彰式の最後に、ジョコビッチと握手する錦織(写真/神 仁司)
マイアミでの表彰式の最後に、ジョコビッチと握手する錦織(写真/神 仁司)

第6シードの錦織圭(ATPランキング6位、大会時)は、マイアミオープン決勝(4月3日)で、第1シードのノバク・ジョコビッチ(1位、セルビア)に、3-6、3-6で敗れて、タイトルにあと一つ手が届かなった。

マスターズ1000大会での初優勝はお預けとなったものの、マイアミ大会での初めての準優勝。日本ではあまり大きく取り上げられなかったが、これは、大いに評価すべき立派な成績である。

マイアミ大会は、テニスの4大メジャーであるグランドスラムに次ぐマスターズ1000のグレードで、1年に9大会あり、トップ10選手には出場義務が課されている。つまり、出場するトップ選手の顔ぶれは、グランドスラムと一緒で、異なるのはグランドスラムが5セットマッチで、マスターズが3セットマッチということだ。

さらに、マイアミ大会は、他のマスターズ1000大会(56ドロー)と違って、96ドローの大型大会で、“第5のグランドスラム”とも呼ばれている。

そのワールドテニスツアーのハイレベルな舞台で、錦織は、準優勝したのだから、その価値の高さはおのずと理解してもらえるのではないだろうか。

ちなみに、錦織以前の日本男子プロテニス選手で、マイアミ大会のシングルスに出場したのは松岡修造だけで、1991年の3回戦が最高成績だった。多くの日本男子選手は、本戦はおろか、予選に出場するのもおぼつかない冬の時代が長く続いたのだが、この点を踏まえても、錦織のマイアミ準優勝の価値を高く評価すべきだろう。

錦織とジョコビッチは、9回目の対戦(錦織の2勝6敗)だったが、決勝で対決するのは初めてだった。錦織は、100%、ときには120%のテニスでジョコビッチに挑んだが、跳ね返された。

「本当はもうちょっと攻撃的にいきたかったですね。セカンドセットは少し作戦を変えて、攻めていこうと思っていましたけど、なかなか風もあり、思うようにボールが打てなかった。ロングラリーになった時に、ほとんどポイントを落としていたので、打たない方がいいのか、打った方がいいのか、なかなかわからなくて、それがすごく難しかった」

こう振り返った錦織は、第2セット第7ゲームでプレー中に左ひざを痛めた。大事には至らなかったものの、もはや挽回できるような余力は残っていなかった。

「ノバクとはいつもタフマッチだけど、自分にとっては大きなチャレンジです。次はマスターズで勝てたらいいですね」と語った錦織だったが、表彰式では王者ジョコビッチに敗れて、明らかに落胆しているのが見てとれた。

だが、現在ピークを迎えているジョコビッチに敗れたのだから、必要以上に錦織が落ち込む必要はないだろう。今は錦織が勝つのが難しいかもしれないが、時間が経過すれば、26歳の錦織と28歳のジョコビッチの力関係に変化が起こり、錦織が勝てるチャンスは訪れるはずだ。

「いい試合も今週はあったので、すごく収穫のあった1週間だったと思います」と語る錦織には、マイアミの決勝でジョコビッチと戦ったことや準優勝という成績を誇りに思ってもらいたい。そして、少しずつマスターズ1000初制覇が近づいているだけでなく、その先にある悲願のグランドスラム初優勝の可能性も上がってきていることも、錦織がマイアミで示したことを忘れてはならない。

すでに、4月中旬からヨーロッパではクレー(土のコート)シーズンが始まっているが、錦織は、4月18日からのATPバルセロナ大会(スペイン)から始動する。

その後、マスターズ1000・マドリード(スペイン、5月1日~8日)、マスターズ1000・ローマ(イタリア、5月8~15日)、そして、グランドスラムの第2戦・ローランギャロス(フランス、パリ、5月22日~6月5日)と戦いは続く。

錦織が、ローランギャロスにピークを持っていけるかどうか注目したい。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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