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【動画あり】スバル新型フォレスターを試す<後編>

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

2.5L搭載モデルに、スバルらしさあり

 今回の新型フォレスターでは、顔認識の技術を用いた乗員認識技術であるDMS(ドライバーモニタリングシステム)を採用。これによって事前に登録した乗員が運転席に座ると、その人に合わせてシートポジションやミラー位置、エアコン設定温度などを自動的にクルマの側で変更してくれる。

 スタッフの説明ではシートに座ってドアを閉めると自動的に合わせるとのことだったが、実際には座ってドアを閉める直前くらいから自動的に位置を合わせるなどする。これは家族でクルマを使っている人にとっては便利な機能。特に複数使用した際のサイドミラーなどは、ちょっとしたズレをこれまで手動で調節していたわけで、煩わしさが払拭される点は嬉しい。

写真:スバル公式フォト 撮影:小平寛
写真:スバル公式フォト 撮影:小平寛

 前編では、e-BOXERの走りを中心にレポートをしたが、今回は2.5Lエンジン搭載モデルを中心にレポートしよう。e-BOXERは、マイルドハイブリッドによるイマドキのクルマのドライブトレーンの感覚を持ちつつ、走りはその車重を活かして大人っぽく落ち着きのある上品な感じに仕立てられていた。だから前回のレポートでは、2.5よりもe-BOXERに、これまでのフォレスターとは異なる世界観が広がっている、とした。

 では一方で2.5Lエンジン搭載車に魅力がないかというとそうではなく、こちらはこれまでのスバルらしさを一層磨き上げた走りのフィーリングが実現されていたとレポートできる。

写真:スバル公式フォト 撮影:小平寛
写真:スバル公式フォト 撮影:小平寛

 2.5Lエンジンは、実際に乗るとやはり排気量が大きいがゆえのゆとりが生まれていることを感じる。最高出力184ps、最大トルク24.4kgmを発生する。数値的には平凡だが、走らせた印象としては2.5Lという排気量の大きさからくる“ゆとり”が感じられて良い。もちろんターボのようなトルク感はないのだが、ゆっくりを背中を押してくれるような優しい力強さを感じるのだ。またCVTとの組み合わせによって、エンジンの力強いところをうまく引き出してくれるため、踏み込んで行った時の爽快感でもe-BOXERを凌ぐものがある。

 また、ハイライトといえるのがハンドリング。実際に走らせるとe-BOXERに比べてこちらの2.5L搭載モデルの方が、はるかにしなやかに軽快な感覚でカーブを駆け抜けて行くのだ。やはり車両重量にして約90kgの差は、運動性能に大きく関わっており、これが走りの気持ち良さに直結している。そしてその走りのフィーリングは先代フォレスターに通ずるものがある。つまりSUVを感じさせない爽やかな身のこなしがそこにある。

ラゲッジスペースはさらに使いやすく拡大された

 結果2.5とe-BOXERでは乗り味走り味で異なる部分が生まれており、2.5はどちらかといえば、これまでのフォレスターの延長線上にある進化を果たした乗り味走り味と考えて良い。SUVにもかかわらず、軽快な身のこなしとスッキリした乗り味を実現しており、爽快な走りを味わうことができる。

写真:スバル公式フォト 撮影:小平寛
写真:スバル公式フォト 撮影:小平寛

 このほか、ラゲッジに関しては、後席の背もたれを倒して僕のロードバイクを実際に積み込んでみたわけだが、前後輪を外さずにそのまま積み込めるだけの前後長が確認できた。しかもロードバイクをそのまま積載しても、さらに前後長的に余裕があったのもポイントで、一層使い勝手は増したといえる。さらに背もたれを倒さずとも大きな容量を確保しており、ゴルフバッグ等も余裕で横積みできるだけの横方向のゆとりを持ちつつ、奥行きもかなりのものである。

 今回のフォレスターはe-BOXER、2.5L搭載モデルともに、それぞれのキャラクターがあり、選ぶ方にとっては悩ましいだろう。しかし言い換えれば、悩ましいほどそれぞれに魅力があるということでもある。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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