日産の最新自動運転実験車両の公道テストに同行。

画像提供:日産自動車株式会社

 日産自動車株式会社が10月26日に公開した、2020年の以降の実用化を目指した最新の自動運転実験車両の公道テストに今回同行する機会を得たので早速レポートしたい。

 日産が自動運転の実験車両による公道テストを公開したのは、2年前の2015年のこと(当時の記事はこちら→「ついに公道で自動運転。日産インテリジェントドライビングを体感する。」 )。当時は日産リーフを用いた実験車両で、一般道の自動運転を披露した。この時には、発進と到着時にはドライバーが操作し、自動運転は走行中の状態からボタン操作で行なっていた。

<2年前の動画はこちら>

 それから2年が経過して今回披露されたのは、日産スカイラインをベースにした新たな自動運転実験車両。自動運転を行なうためのセンシングには12個のソナー、12個のカメラ、9個のミリ波レーダー、6個のレーザースキャナーを用いており、合わせてHDマップ(3次元地図)が搭載されており、これらを組み合わせて使用することによって、車両の周囲360度の情報と自車の正確な位置を把握して、交通量の多い交差点を含む複雑な道路環境を自動運転で滑らかに走行することを可能としている。

 しかも今回は、発進や到着時の操作も自動運転車両が行なう。このためドライバーは最初にナビ画面にワンタッチするだけ。これによって自動運転が始まり、目的地まで自動運転して到着するまでドライバーは何もしなくて良い。今回のルートは発進と到着が同じ場所となるルートで、一般道~首都高速~首都高を降りて一般道でUターン~首都高~一般道というコースを走行した。

 この自動運転車両のドライバーズシートに収まって自動運転を監視するのは、日産自動車(株)ADA&ADAS先行技術開発部戦略企画グループ部長・飯島徹也氏。2年前の自動運転車両でも公道テストをご一緒させていただいた方だ。

 そんな飯島氏に2年前とほぼ同じ質問をしてみた。2年前は「この自動運転車は、人間でいえば何歳くらい?」との質問に、飯島氏は「4~5歳児」と答えたのだった。それから2年、同じ質問に飯島氏は今回の自動運転車をして「経験の浅い18歳くらい。一通りのことはできるが、まだまだ見たことのないものに出会うと戸惑ってしまう」と評した。

 事実、今回の公道テストに同行させてもらって驚いたのは、スタート時のボタン操作から完全自動で公道を走り、スマートに交差点を曲がって首都高へとアクセス。AIによってETCゲートの空いている方を認識して通過し、さらにその後高速へと合流していった。その様は確実に、人間の操作と同等。いや、ドライバーのスキルによってはそれ以上と言える内容に衝撃を受けた。

 そうして首都高を走行後に、一度首都高から降りて公道でUターンして再び首都高へ…という今回の目玉を体験する段階に差し掛かる前に、我々に危機的状況が訪れた。首都高の走行車線を走行中、右に曲がっていくカーブで渋滞が発生しており、我々が渋滞末尾にさしかかろうとした際に、右側に停車していたトラックがいきなり左へと車線変更を行なったのだった。

<今回の自動運転実験車両の公道テスト動画はこちら>

 この辺りは動画の6分55秒くらいから確認いただくとして、この時飯島氏は自らブレーキ操作をおこなった。動画でも語っているが、「自動運転にまかせてもかなり強いブレーキで止まった」シチュエーションであったが、やはりこうした危機的状況では現時点の自動運転ではドライバー自らがブレーキを踏む必要がある。実際、この自動運転は今回完全自動で走行するが、あくまでもレベル2と言われる自動運転であり、もしもの時にはドライバーが介入して安全を確保する必要があるわけだ。

 ちなみにこの状況、実際に自動運転ではなく自身で運転していても、ドライバーによっては動揺して無用な操作をしている可能がある状況でもある。しかしながら動画でも確認できる通り、飯島氏はブレーキこそ安全確保のために踏んでいるものの、ハンドル操作に関してはその直後から自動運転にまかせている。ここからも、いかにこの自動運転の制御が信用できるものであるかが分かる。

 そうして自動運転車は首都高から降りてUターンをする難しいタスクをこなした後、再び首都高に乗って渋滞の合流などをしつつ、無事にスタート地点に自動で戻った。しかも戻って停車した際の位置は、スタートした位置から10cmと差のない位置にピタリとつけたのだった。

 2020年には高速道路を降りて、公道での自動運転を実現する、と日産自動車株式会社は言っている。もちろんそのためには、今回走行した自動運転車に搭載されるような複雑で高価なメカニズムを、よりシンプルで安価にする必要があるし、さらに精度を高めたり、制御を様々な状況に対応させることが必要だろう。

 しかしながら今回の自動運転車の公道テスト、実際に同行した感想としては、現時点で世界最高峰にあることは間違いない。もはや一般のドライバーよりも遥かに滑らかな運転が自動で行われている様には、ただただ舌を巻くしかなかった。