ゆっくり登れば登山はもっと楽しくなる！心と体をリフレッシュしませんか。
朝晩の空気が過ごし易くなり、低山ハイキングをはじめるには良い季節になってきました。
日本の自然や歴史が豊かな山越えの道や神社仏閣、個性豊かな食材や地元料理の魅力は国際的にも認められ、海外からも多くの観光客を迎えています。
その魅力が身近にあり過ぎて、私たちは見逃しているかもしれません。古の旅人と同じように山里から森を抜け、峠を越える山道を歩くなど頂上にこだわらない山登りも楽しいものです。
さて、本題に入る前に今年の夏山での遭難に関して俯瞰しておきます。
台風の影響も少なく、山小屋は水不足になるくらい好天が多かったにもかかわらず、多くの遭難が発生したのはなぜでしょうか。
次の点が根本原因として挙げられます。
- 体力不足
- 技術不足
- 経験不足
更に重要なことは何でしょうか。情報や装備でしょうか？
もちろんそれらも大切な要素ですが、管理されていない自然界に足を踏み入れる者は次の点を持ち合わせることが大切です。
- 自然を畏れる慎重さ
- 自分を過信しない謙虚さ
- やり遂げる強い意志
- 悪い環境に耐える精神
先に述べた”体力・技術・経験”は個人個人が身につける要素です。情報や装備は時間とお金があれば手に入りますが、使いこなすのはやはり個人の能力です。
失敗や挫折を通じて自分の弱さを自然が教えてくれるのです。雨と嵐の後だからこそ、訪れる太陽と青空が輝いて有難く感じられるのです。
硬い話は終わりにしましょう。
”ゆっくり登る”と、どんな良いことが起きるのでしょうか。
- 景色や植物やコケ、動物や昆虫など生物などを楽しめる
- 段差や浮石、岩や泥・砂など登山道のコンディションに合わせて確実に歩ける
- 地形の変化、地図との照合、分岐の確認など容易になり、道迷いが起きにくくなる
- 標高が高くなっても呼吸が楽で過剰な汗がかきにくくなる
- 自分や仲間の体調変化に気づきやすく、対処する余裕が生まれる
- 天気・環境変化に気づきやすくなり、衣服調節する余裕が生まれる
- 同行者や行き会う登山者と会話を楽しめる
- 長時間歩くことができる
- 歩行での衝撃が小さくなり、膝痛が起きにくくなる
”ゆっくり登る”ことはなぜ難しいのでしょうか。
- 頂上（目的地）を目指しているから
- 他の登山者にペースを乱されたから
- 机上で立てた予定を守るため
- 遅れた行程を回復させるため
- ゆっくり登るとバランスが崩れ、余計に疲れるから
- 疲れたら休めば良いと思うから
- 弱いと思われたくないから
- 早く登れる強い登山者であるべきと思うから
- 登山は体力つくりと割り切っているから
”ゆっくり登る”にはどうしたら良いのでしょうか。
- 今回の目的を自然観察と仲間との時間を共有する登山だと宣言すること
- 休憩・栄養水分摂取と自然観察分として、コースタイムに20％以上を余計に加えること
- 時期とルートにも因るが早朝暗いうちから歩き始め、十分な行動時間を確保すること
- 小さな段差、小さな歩幅での足さばきを心がけること
- 片足で立つ時間を少なくし、両足で立ったタイミングで一呼吸入れること
- 数歩に一回程度のタイミングで息をしっかり吐き切ること
- こまめな栄養・水分摂取で身体と脳を健全に保つこと
- 目的ポイントに到達しなくても、引き返し時刻を設定して下山すると決めておくこと
- 他の登山者とのすれ違い・追い越しで競わず、笑顔でスルーすること
- 感動するきれいな景色には感嘆の声を出すこと
- 知らない花や木々、鳥や昆虫など生物への探求心を大切にすること
今までの登山観に執着せず、食わず嫌いも程々にして、自分が楽しいと感じるスタイルを見つける山歩きを探求してみていかがでしょうか。
次の週末は他人のおススメ情報から距離を空け、頂上をひたすら目指す登山も少し間お休みして、山道をのんびり歩きに行きませんか。
