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横浜流星、JO1、EXOなど続々! 女性用メイクの“顔”に、男性を起用する理由とは?

加藤智一美容ジャーナリスト・エディター
NARS JAPAN, BOBBI BROWN COSMETICS

“男性メイク”に関する記事を目にするようになりましたが、化粧品業界では、そのトレンドを後押しするようなニュースが続々と発表されています。それは、女性向けの化粧品ブランドが、男性タレントやアーティストを、そのイメージキャラクターに迎えていることです。

美容大国である韓国では、すでに男性K-POPアーティストが、女性向け化粧品ブランドのポスターに登場していますが、その潮流がいよいよ日本にも波及してきたともいえるでしょう。

きっかけは“ジェンダーレス意識”の浸透

その理由のひとつは、“ジェンダーレス(社会的・文化的な男女の区別がないこと)”や“ダイバーシティ(多様性)”というカルチャーが日本に根付いてきたことがあります。

俳優の横浜流星を、今年4月発売の新作クッションファンデーションのイメージキャラクターに起用したのは、アメリカの化粧品ブランド、NARS(ナーズ)。

ピュアラディアントプロテクション アクアティックグロー クッションファンデーション SPF50+/PA+++が持つ、ピュアなイメージを体現した横浜流星。copyright ; NARS JAPAN
ピュアラディアントプロテクション アクアティックグロー クッションファンデーション SPF50+/PA+++が持つ、ピュアなイメージを体現した横浜流星。copyright ; NARS JAPAN

そのコミュニケーション マネージャーである福島まどかさんは、「ここ数年で、日本でもメイクアップがジェンダーレス化していることが注目されはじめたことも大きい」と話します。

「NARSは、そもそも1994年のブランド創設当時から、性別、年齢、人種を区別することなく、美を求めるすべてのかたにアイテムを届けてきました。今回、横浜流星さんを起用したことも、このブランドの哲学から。性別に縛られることなくNARSのベースメイクアップを楽しんでいただきたいというメッセージを込めました」(福島さん)。

このような“ダイバーシティ”をブランドの理念に掲げる化粧品会社が多いのがアメリカの特長ともいえます。

今年の3月に韓国発のK-POPグループ、EXO(エクソ)のKAIをブランドのアジア・ミューズ(イメージキャラクター)に選出したボビイ ブラウンも然り。

「自然なつや感を演出してくれる、インテンシブ スキン セラム ファンデーションのウォームナチュラルがお気に入り」というKAI。copyright ; BOBBI BROWN COSMETICS
「自然なつや感を演出してくれる、インテンシブ スキン セラム ファンデーションのウォームナチュラルがお気に入り」というKAI。copyright ; BOBBI BROWN COSMETICS

「ボビイ ブラウンは1991年の創立当初から、ダイバーシティという観点で製品づくりを続けていますが、アジアは世界のなかでもメイクに対するリテラシーが高く、韓国・タイ・マレーシア・中国など、さまざまな国でそのトレンドが波及。メイズメイクが当たり前の風潮があります」(ボビイ ブラウン コミュニケーション マネージャー 小山真紀さん)。

そして、そのアジアの国のなかでも、メンズメイクを牽引している韓国で、最もビューティリテラシーの高いアーティスト、KAIを抜擢したそう。「KAIはナチュラルな血色感のある肌が印象的。ブランドが目指す“フレッシュで健康的、つややかな肌”を体現するのに相応しいアイコンと思い起用しました」(小山さん)。

ビューティは自信を生み出すもの

さらに、男性グループの全員をイメージキャラクターに選出したブランドもあります。フランスのブランド、イヴ・サンローラン・ボーテは日本発のグローバルアイドルグループ、JO1の11人をオフィシャル ビューティ パートナーに迎えています。

JO1。2021年、ステージやプライベートで使用するメンバー全員分のビューティ製品を1年間サポート。copyright ; YVES SAINT LAURENT BEAUTE
JO1。2021年、ステージやプライベートで使用するメンバー全員分のビューティ製品を1年間サポート。copyright ; YVES SAINT LAURENT BEAUTE

コミュニケーション マネージャーの野山佳世子さんは、その理由を「イヴ・サンローランのブランドコードである、“ヤング エッジィ ラグジュアリー”にぴったり合致したから」といいます。

「もともと男女問わず“フレッシュな才能”を探していて、JO1と出会ったのですが、メンバーのビューティの取り組み方がすでにジェンダーの域を超えていらして。しかも、ビューティは自信を生み出すもの、ステージのパフォーマンスのレベルを高めるための手段と認識していたり、女性のビューティの取り組みと同様の熱量を感じられたこともオファーを決めた理由になりました」(野山さん)。

イヴ・サンローランがJO1を起用したのは、2021年1月。それ以降、男性客も増え続けているといいます。

「JO1メンバーも自分たちが発信することで、男性がメイクをしやすい空気が作れたらと取材などで回答してくださっています。男性がメイクやスキンケアをはじめるにあたり、男性からのアプローチということはとても重要で、彼らがスタイリッシュに輝いていくほどに、男性ユーザーも増えていくと確信しています」(野山さん)。

かっこよくスタイリッシュな外見になるために

メイクを施すことで、内面にも自信が持てるようになれば、積極的にコミュニケーションがとれるようになったり、仕事のパフォーマンスが上がったりと、日常生活をより快適に過ごせるようになるはず。

メイクアップは“美しくなる”というより、“かっこよく、スタイリッシュに”なれる手段。そんな男性ならではのメイクアップの効果をもっとアピールできれば、今後、メンズメイク市場はよりいっそう拡大するでしょう。

美容ジャーナリスト・エディター

popteen(角川春樹事務所)、ViVi(講談社)、25ans(ハースト婦人画報社)など、女性誌の美容担当を経て独立。女性誌・男性誌・新聞など、さまざまな媒体で執筆。講演・PRアドバイスでも活躍。著書に「お洒落以前の身だしなみの常識」、「思わず触りたくなる美肌をつくる身だしなみメイク」(ともに講談社)などがある。

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