本田圭佑が指摘する、日本サッカーの問題点

(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

7日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で代表デビューを飾った小林祐希に話題が移った時だった。本田圭佑の言葉にがぜん、熱がこもった。

「まあ、僕としては祐希みたいな選手が何人も、何十人も出てくるような日本サッカー界にならないと、本当の意味での世界でのスタンダードになり得ないと思ってます」

小林は代表デビューを飾る前から、ある意味で注目を集める存在だった。以前より強気な発言で知られた若者は代表初招集でもそのスタイルを貫き、その刺激的な言葉がメディアで踊った。代表のピッチにまだ一度も立っていなかったにもかかわらず、強烈な存在感を放っていた。

そして代表初キャップを飾った時も、やはり異質なオーラを漂わせていた。味方がボールを持つたびに両手を強く広げ、「俺の足下にボールをよこせ」と大アピール。ハリルホジッチ監督からは左サイドの裏のスペースを狙えと指示されていたが、「裏も狙ったけど、キヨくんに近づいていった方がチャンスになりそうだなっていう時は中に入ったり、そこは自分で動きを変えた」と自分の判断で攻撃を活性化させようとした。

新参者であろうが自分がそうすべきと思ったことは実行に移す。その姿は、かつて絶対的存在だった中村俊輔にFKのキッカーを譲るよう主張した若い時の本田に似ており、本田も小林については好意的に受け止めている。

しかし、今回の一連の流れを見てきた本田は、日本のサッカーを取り巻く環境について、自身が注目を集め始めた当初と変わっていないことに落胆の色を隠さない。「僕が出てきた時もそんな議論が出てたかと思いますけど、まだそんな議論をしてるのかっていうのが正直なところ」。自己主張をする選手が出てきたというだけで脚光を浴びる、そんな状況に「毎回、毎回、この1人が生まれて来ただけでこういう議論が出てしまうっていう」と手厳しい。

それこそ海外に出れば、「もうブラジルとかアフリカとかフランスとかイタリアもそうですけど、そんな選手はいっぱい出てきますからね。大げさなんですよね」と自分たちくらい我が強い選手は掃いて捨てるほどいるという実感があるからだ。

海外のチームでは、最初から協調ありきでまとまっていくのではなく、強烈な個性を持った選手が自己主張をしていくなかで互いに能力を認め合い、一つのチームになっていく。本田はそんな環境に21歳のころから身を置き、エゴを隠さない選手たちと日々戦いながら調和していくプロセスを踏んできただけに、自身や小林のような存在が異物のように見られることに違和感を覚えている。

それは、レスターの快進撃が続くなかで、岡崎慎司がジェイミー・バーディーやリヤド・マフレズといった個性の強いチームメートを見て、感じたことに通ずるものがある。

「やっぱり結果を出すようなやつらはちょっとぶっ飛んでる。そこでいくか、というところでいくけど、それで結果を出す。全員が持っている力を出して、それが全てが噛み合ってるから、今みたいなありえない状況になっている。共鳴じゃないけど、みんなが全力でやって、それが連動すれば日本代表は一番強くなる」

なんでもかんでも海外のあり方が正しいわけではない。しかし、日本よりもレベルの高い舞台で戦い続けてきた本田や岡崎が目の当たりにし、それが高みに登っていく上での日常だと感じたことには説得力がある。

もっとも、本田が疑問を呈す今の状況は、サッカーの範疇に収まらない、この国の文化に根付く問題につながってくる。本田もそれは承知しており、彼の話は当然のようにサッカーの枠組みを越えていく。

「日本人で生まれて、日本で育つと、どうしてもやはり協調寄りになる。それは教育の問題になる。日本の教育で、サッカー指導ではなく、もっと大きな範囲で物事を考えて、人間育成を日本がしていくプログラムをもう少し付け加えていかないと。全部を変えろとは言わないんで、日本サッカー界だけではなく、全スポーツ界でやらないと、そういう選手が今後生まれてこないでしょう」