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Spotify、有料ユーザー7000万人を突破。音楽業界を支え始めた”定額制”音楽ストリーミング

ジェイ・コウガミデジタル音楽ジャーナリスト
Spotify logo(写真:ロイター/アフロ)

2018年早々に新規株式公開(IPO)のニュースで湧いた定額制音楽ストリーミングサービスのSpotifyは、有料ユーザー数が全世界で7000万人を突破したことを発表しました。

Spotifyは2017年7月に6000万人の有料ユーザーを発表しました。これまで発表された最新のアクティブユーザー数は2017年6月の1億4000万人ですが、この半年でその数字もさらに拡大しているはずです。

有料ユーザーでは定額制音楽ストリーミング業界2位のApple Musicは、2017年9月に3000万人獲得を発表していますが、Spotifyがこのままの勢いを維持すれば、2019年には1億人突破も不可能ではないでしょう。

ここで重要なことは、「定額制」音楽ストリーミング業界の話であり、YouTubeなど「広告型」音楽ストリーミング業界とは、異なるビジネスモデルで音楽業界の収益拡大に貢献している点です。

Spotifyのユーザー推移を探る

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これまでSpotifyが獲得してきたユーザー数の推移をチャートにまとめてみました。

特に3000万人を超えた2016年初頭から1000万人単位での増加の速度が約6カ月単位で更新されていることが目立ちます。

2015年はIFPI(国際レコード産業連盟)が発表したレポートでは、デジタルからの売上が史上初フィジカルを上回った年で、その恩恵を受けた世界の音楽産業は3.2%プラス成長を記録していることも、Spotifyの有料ユーザー数の大幅増加に影響を受けたとも云え、音楽消費者と音楽業界にとっての分岐点となった年だと考えられます。

IFPI Global Music Report 2016

http://www.ifpi.org/news/IFPI-GLOBAL-MUSIC-REPORT-2016

ただここで一つ懸念として考えられることがあります。世界的な定額制ストリーミングサービス利用の普及の波を牽引しているSpotifyですが、2018年は、いかに有料ユーザーを獲得し続けるかという点が音楽業界が注目する指標の一つとなるでしょう。

有料ユーザー7000万人を突破したSpotifyですが、現在も膨大なフリーユーザーを抱えています。音楽業界への収益還元の重要性をこれまで継続的に打ち出してきたSpotifyが有料ユーザー数を更新し続ける理由も、フリーユーザーとの「バリューギャップ」(Value Gap)への懸念があると考えられます。

2018年のSpotifyは、引き続きフリーユーザーの有料ユーザーへのコンバージョンを指摘する音楽業界やアーティストの懸念を払拭する必要にさらに迫られるはずです。

7000万人を突破したSpotifyの影響力は音楽ストリーミング業界では絶対的であり、特に競合他社にとっては圧倒的否脅威であり、レコード会社やアーティストにとっては朗報であることは間違いありません。しかしながら、この有料ユーザーの価値をいかにしてポジティブに伝えていけるか、が業界リーダーのSpotifyに問われます。

世界の音楽シーンでは、音楽ストリーミングサービスが主流の時代が始まっています。2018年は、Spotifyを中心にApple Music、Amazon(とAlexa/Amazon Echo)、グーグル/YouTubeの巨大サービスのビジネスモデルの進化が進み、あらゆる面で音楽消費と音楽業界に与える影響力はますます拡大すると予想されます。

ソース

Spotify now has 70 million subscribers (The Verge)

Jimmy Iovine: Apple Music ‘Not Even Close’ to Success With Streaming (Billboard)

(この記事は、デジタル音楽ビジネスメディア「All Digital Music」で2018年1月5日に掲載された記事に加筆しています)

デジタル音楽ジャーナリスト

専門は「世界の音楽ビジネス、音楽業界xテクノロジー」の執筆・取材・リサーチ。音楽ビジネスメディア「All Digital Music」、音楽業界専門のマーケティング支援会社「Music Ally Japan」や、音楽ストリーミング・データ分析プラットフォーム「Chartmetric」日本事業展開も担当。グローバル音楽業界、レコード会社、ストリーミングサービスのビジネスモデル、トレンド分析、企業分析に関する記事執筆多数。

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