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スポーツも「写真映え」が欠かせない時代。SNSが生んだ「Color Run」ブーム。

五百田達成作家・心理カウンセラー
(写真:ロイター/アフロ)

運動会にマラソン大会と、全国各地でスポーツイベントが開催されています。天気も気温も快適なこの時期は、普段運動をしない人でも、スポーツに触れる機会の増える季節でもあります。

運動不足を解消したい、体力をつけたい、痩せたい……。スポーツを始めるにはさまざまな理由・きっかけがありますが、近年注目されるモチベーション、それが「写真映え」「SNS受け」です。

パウダーまみれになるColor Run

一度は目にしたことがあるのではないでしょうか、太陽の下で全身にカラーパウダーをかぶって、仲間と一緒に楽しそうにしている写真。これは「The color run」というランイベント。そもそもは2011年に「地球上でもっともハッピーな5km」をコンセプトとして、アメリカで創始されました。

ランナーは、白い服を着てスタート。各所に設置されたカラーゾーンでカラーパウダーを浴びてカラフルになりながらゴールを目指します。2014年に日本に上陸するやいなや、大ブームとなりチケットもすぐに完売するという盛況ぶりです。同様に2014年には、夜に光るグッズを身に着けて走る「ELECTRIC RUN」、2015年には、泡まみれになって走る「BUBBLE RUN」が日本に上陸し、いずれも人気となっています。

勿論、もともと運動が好きでランイベントを楽しんでいる人もいる一方で、普段は運動をあまりしないが、こうしたランイベントには参加するという人もたくさん見受けられます。

写真映えしない運動なんて意味がない

彼ら、彼女らが参加する理由の一つが「写真映え」「SNS受け」。

SNSへの投稿は文章と写真、動画で構成されています。2014年には写真投稿型SNSであるInstagramの利用者が、文章が中心のSNSであるtwitterの利用者を超えたと報道されるなど、近年では、写真の重要度がますます高くなってきています。

もはや「写真がついてない投稿は読まれない」とすら言われる時代に、「The color run」「ELECTRIC RUN」「BUBBLE RUN」など、総称して「Fun Run」と呼ばれるイベントは、晴れた屋外で行われいたり、色鮮やかであったりと、そもそも写真映えしやすい仕組みになっています。

速く走ることが目的ではない

いっぽうで、ジョギングやランニングは、テニスやゴルフに比べてどうしても個人差がつきやすいものです。小学校の頃のマラソン大会等で、「一緒に走ろうね」などと約束していても、最終的にはみんな一人で走ることになっていた、なんて思い出もよみがえります。

しかし、「Fun Run」では、走るイベントであるにも関わらず、みんなでゴールを目指すというレクリエーション的な性格を持っています。あるときは仲の良いグループで、あるときは初対面の人達と一緒に楽しみながら、みんなでゆっくり走る。楽しんで走る。そう、単に絵柄がカラフルになるというだけでなく、「思いっきり楽しそうな表情を浮かべている」ことも、こういったイベントが「写真映え」する理由と言えるでしょう。

SNSありきのスポーツイベント

SNS受けすることを見越してイベントに参加し、実際に写真をアップ。今度は、その写真を見た人が「楽しそう」「自分も行きたい!」と思うようになり、参加。同様に写真をSNSにアップし……、というようにブームは広がってきました。まさにSNSが生んだスポーツムーブメントと言えます。

そのため多くのイベントでは、写真の提供やタイムの告示、Wi-Fiなどすぐさま投稿できるような環境をサポートしています。

控えめな日本人の間で定着するか?

泥んこまみれ・パウダーまみれになって童心に返り、カラフルな写真・楽しい写真をとれることが保証されていて、運動不足も解消される(かもしれない)。多くの「Fun Run」イベントはチケット入手が困難とのこと。なかなかバカになれない、はじけきれない国民性である日本でも、これから徐々に定着していくものと思われます。

これからもっと寒くなると、こうしたイベントの実施は難しくなり(寒い!)、リアルでストイックなランニングイベント(マラソン大会など)に取って代われるはず。あと数ヶ月の間、SNSを賑わせるこれらの「写真映えスポーツイベント」に注目しましょう。

作家・心理カウンセラー

著書累計120万部:「超雑談力」「不機嫌な妻 無関心な夫」「察しない男 説明しない女」「不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち」「話し方で損する人 得する人」など。角川書店、博報堂を経て独立。コミュニケーション×心理を出発点に、「男女のコミュニケーション」「生まれ順性格分析」「伝え方とSNS」「恋愛・結婚・ジェンダー」などをテーマに執筆。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。

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