「借金の教育」こそ未来を切り開く力なり

「有る時払いの催促なし」なんて都合のいい借金はない(ペイレスイメージズ/アフロ)

お金のことを人前で話す事はあまり好まない日本人

借金は悪いこと?

 お金は幸せになるための道具です。しかし、使い方を誤ると不幸になります。

 また、お金は汚いもの?金儲けは悪いこと?などと、私たちは大切なお金のことから目を背けるのはなぜでしょうか?

 とくに借金の話はタブー中のタブーで、借金することが悪いことのように思われることも少なくありません。

 マイホームやマイカー、結婚、進学など借金をしないと掴めない幸せはたくさんあります。借金の大きさ=幸せの大きさと言っても過言ではありません。

 しかし、借金することを後ろめたく感じるのはどうしてでしょうか?

借りたものは返す

 それは借金によって人生を狂わされた人達が世の中には少なくないからです。

「借りたものは返す」という当たり前のことを計画的に実行していけば、なんの問題もありません。しかし、返せるあてもないのに借金したり、病気やケガ、失業や保証など想定外の出来事によって多重債務に陥り、自己破産となって家庭が崩壊するケースも身近に起こっています。

借金の教育とは

 こんな事態を避けるためにも早いうちから「借金の教育」を実施する必要があります。

貯蓄、運用、投資、保険、租税などの教育は近年積極的に学校教育の中でもおこなわれてきましたが、借金に特化した授業はほとんどなされていません。

 一番学んでおかなければならないことが未だ手付かずのままなのです。

 家で教えられるかというと親も知らないし、なにより家族同士でもタブーな話題なので知る由がありません。

 では、どのようなことを身に付ける必要があるかといえば、「いつ、何のために、どんな借金を、何%の金利で、何年かけて、いくらずつ返済すれば、無理のない借金ができる。その上で想定外の事態の対応策も考えておく」。これらの一連の流れをしっかり学び、身に付けることが大切だと考えています。

「いつ」

 長期にわたる人生の中でタイミングというものがあると思います。

 衝動買いのように思い立ったが吉日で物事を決めるのは大きなリスクが生じます。ましてや借金をしないと手に入れることができないようなものは慎重に慎重を重ねて決定しなければなりません。

 一時的に欲しいと思っているだけで本当に必要なものなのか、それは今どうしても手に入れないといけないものなのか、借金してまで価値があるものかをしっかり考えて決定できる判断能力を高める必要があると思います。

「何のために」

 借金をしてまで手に入れたいものが、個人や家族にとっての夢や目標を達成するためのものなのか、それが人生においてどれくらいの位置づけになるのかなどを考慮した上で慎重に決定する必要があります。

 一時的な感情や欲望でさほど重要でもないものを借金をしてまで購入することがないようにしなければなりません。

 そのためには普段から購入するものの優先順位を意識する生活を送るように心がけましょう。

「どんな借金を」

 先日、全国銀行協会から発表されたカードローンに関する消費者意識調査でカードローンの利用者のうち、借入残高が年収の3分の1を超える人は30.2%を上回ることがわかりました。

 資金の使い道を限定せずに簡単に利用することができるため安易に借りてしまう傾向にあるようです。

 資金の使用目的が決まっている場合には、目的に特化した借金(住宅ローンやマイカーローン、奨学金など)のほうが使いやすくできています。ただし、種類も多く、内容も異なるケースもあるのでしっかり選択する力も必要となります。

「何%の金利で」

 金利の選択は、貯蓄は高く、借金は低いのが基本なので、出来るだけ楽に返すためにも低い金利を探す必要があります。

 その金利の特徴も固定金利や変動金利、固定金利選択型、金利据置型など様々で将来の市場金利の変化によって金利の総額が異なるため先を読む力を養うことも大切です。

 例えば、100万円を10年で返済する場合、返済総額は固定金利で1%では約105万円、3%では約116万円、5%では約127万円、10%では約159万円になります。

「何年かけて」

 借金を一度に返済するケースは少なく何回かに分けることが一般的です。その際、日払い、週払い、月払い、年払いなど、返済のサイクルによって返済額が変わってきます。

 出来るだけ早く返したほうが金利の負担は少なくてすみますが、今後のライフプランを考慮して無理のない返済計画を立てることが重要です。

 例えば、100万円を5%で返済する場合、返済総額は1年では約103万円、5年では約113万円、10年では約127万円、30年では約193万円になります。

「いくらずつ返済すれば」

 本来、返済能力がある人が借金をするのは当たり前のことですが、収入が不安定であったり、将来的に収入が激減したり、逆に将来、安定した収入が見込めたりと借りたいと思っている人の年齢や性別、職業などによって返済能力が異なります。

 いくら借りられるかではなく、いくら返せるかが重要なポイントとなります。

「想定外の事態の対応策」

 無理なく計画的に借金をしても100%安心ということはいえません。

 病気やケガ、転職や失業によって収入が大きく減少して返済が困難になるケースもあるかもしれません。そんな時のための対応策を知っておく必要があります。

 例えば、加入している生命保険や損害保険、傷病手当金や高額療養費制度、労働保険の失業給付、障害年金などの公的保障、そして自己破産や生活保護などの法律も学んでおきましょう。

「借金の教育」は「生きる教育」

 このように「いつ、何のために、どんな借金を、何%の金利で、何年かけて、いくらずつ返済すれば、無理のない借金ができる。その上で想定外の事態の対応策も考えておく」という借金をする時の重要なポイントを学習する「借金の教育」を学校教育の中で組み入れておけば、大人になって夢や希望を実現させることができるとともに、多重債務に陥る人は大幅に減少するでしょう。

 まさしく、「借金の教育」は「生きる教育」であり、未来を切り開く大きな力となるのです。