WhatsAppはFacebookに。LINEはGoogleか?
FacebookはWebにおけるGoogle、アプリマーケットにおけるAppleと同等あるいは同等以上のプラットフォームになったといえよう。なぜならFacebookは、世界中の12億人以上をデジタルでつなぎあわせ、接触できるようにしたからだ。
しかし近年、Facebookは彼らと少し異なるタイプのソーシャルネットワーク企業から挑戦を受けている。WhatsAppやLINE、SnapChatといった、おもに若者層からの支持を受ける新進メッセージングサービスだ。
FacebookはInstagramの買収のように潜在的な敵対企業はM&Aで飲み込むか、対抗サービスを生み出すなどして、とにかく早期に脅威を摘み取る作戦をとっている。しかしメッセージングサービスにおいては、ご存じのようにSnapChatの買収に失敗した。SnapChatはFacebookからの30億ドルというオファーを断り、依然としてFacebookの前に立ちふさがろうとしている。FacebookはPokeというSnapChatの対抗サービスを生み出したが、うまくいっていない。そんななかでFacebookは、160億ドルという凄まじい金額をオファーし、WhatsAppの経営陣にFacebookへの企業売却を承知させることに成功した。
人間同士を“コミュニケーション”させ、情報を共有するというデジタルプラットフォームとしては、まず電子メールが世界的に広まった。電子メールは数十年前に生まれたシステムであり、いまだにテクノロジーとして大きな変化はない。ただし電子メールは1対1のコミュニケーションには使えるが、N対Nのコミュニケーションには向いていない。
そこで、N対Nのコミュニケーションツールとして生まれたのがブログだ。ブログは情報発信型のWebサイトが簡単に制作できるという仕組みだったが、Web上で自分のプレゼンスを非同期に知らせられるという点でメールに似ており、かつメールと比べてより多くの人に情報が共有できる。つまりFacebookは、ブログの延長戦にあるサービスといえよう。ブログをネットワーク型に置き換えたのがFacebookであり、TumblrやTwitterもまた同じ領域にある。
しかし、みなさんもご存じのように、今では小型PC化したスマートフォン上でのネイティブアプリを介した、同期型のメッセージングアプリが1対1のコミュニケーションツールとして、完全に電子メールを無力化しつつある。さらに同期型のコミュニケーションツールは、さらにブログやFacebookなどの非同期コミュニケーションツールの領域にまで侵入し、若者を中心とした層では、完全に主客転倒し、主流のコミュニケーション手段として圧倒的な勝利を収めつつあるのだ。
せっかくFacebookは非同期コミュニケーションの王者となったわけだが、同期コミュニケーションであるLINEやWhatsAppのようなメッセージングサービスでは遅れをとってしまった。だからこそ、FacebookはSnapChatを買収しようとして失敗し、ようやくWhatsAppには同意をとりつけることでキャッチアップしようとしているのである。
この結果、2014年は一気に市場を形成してきたメッセージングサービス群の中で、さらに大きな葛藤が生まれることになるだろう。WhatsAppはFacebookの傘下に入り、WeChatにはテンセントがある。Kakao TalkはIPOを目指すらしいが、LINEはどうするか?SnapChatの動向も気になるところだ。
Facebookのオファーを無下に蹴ったSnapChatはしばらく動かないかもしれないが、LINEはIPOを目指すのか、M&Aを受け入れるのかをそろそろ決めていかなくてはならないのではないか?僕としてはGoogleとの交渉が水面下で動いていたとしても、何の驚きもないのだが。
quoted fromMdN Interactive