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大人になったFacebookが考えなければならない大事なこと。

小川浩株式会社リボルバーCEO兼ファウンダー。
Facebookは、若者からの支持を失いつつある

Facebookは、IPOして以来ずっと、モバイルでの収益確保と、若者からの支持を失いつつあるという二つの課題を抱えてきた。

モバイル広告は2013年を通じて絶好調だったが、若者のFacebook離れという問題は解決の糸口はない。

大学生専用のSNSとして生まれたFacebookは、全世代にサービスを公開することで急成長したが、急成長と引き換えに若者の支持を失ったが、どんな世代にも受け入れられるサービスはあり得ない。コーラを好むのは若者であり老人ではない。演歌を好むのは中高年であって中高生ではない。

Facebookは大人向けのサロンであり、ビジネス上の人脈を常に新鮮に保ちつつリアル社会に活かしたいと考える大人のツール。それでいいのではないか。だからFacebookは、若者に受けるサービスを別ブランドで作るか、買えばいい。逆に言えば、SnapChatの買収に失敗したのは痛いし、してはならないミスだ。今後マーク・ザッカーバーグが意識するべきは企業買収の腕利きチームを作り上げていくことだろう。若者の支持を失い続けること自体は止めようがないから、次から次へと生まれる若者向けのブランドを傘下に収めて、LVMHのようなソーシャルブランド王国を作ることが重要だ。このあたりはGoogleや米Yahoo!との戦いになるから、本気で優秀な買収専門のスタッフを集めて戦略的に動く必要があると僕は思う。

それと、マーク・ザッカーバーグが今しておかなければならないのは、SnapChatが30億ドルもの大金を蹴って独立独歩の道を選んだ理由が、本当にSnapChatの取締役会が自社の企業価値が30億ドルでは引き合わないと考えているからだけだろうか、という疑念を持つことだ。もしかするとFacebookの企業カルチャーに対する不信感があったのかもしれない、そう考えておく必要がある。

Facebookはザッカーバーグだけでなく、シェリル・サンドバーグ率いるビジネス面での”大人”の論理がDNAとして組み込まれている。少なくともそうみえる。彼らに買われることで、そのDNAがストレートに入り込んでくることに嫌気を覚えたとしても不思議ではない。ビジネスライクが悪いことではないが、もう少しそこを隠しておくべきかもしれない。

マドンナやプリンスは既に50歳を超えるアーティストだし、ライブにくるのは比較的高い年齢層ではあるが、若いアーティストからの尊敬を集め、コラボセッションを行なうケースも多い。Facebookもまた、若者に支持を得られなくても、若い起業家に慕われる文化を積極的に作り込む必要があると思う。

結論として。

Facebookが若者の流出を防ぐ術はなく、やむを得ないと割り切ること。彼らが23歳になれば、人脈を求めてFacebookに戻ってくるからだ。

そして、いま若者の支持を集めてトラフィックを引き寄せたいなら、エッジィな新興サービス、スタートアップを買いまくることだ。誰よりも効率的に素早く買う。

そして、買ったあとも、彼らがFacebook傘下で自由に仕事ができる環境と、サービス自体の開発と運営は創業チームに任せておくこと。さらにその約束を最初から信じさせる対外的なイメージを早く作ることだ。

それができれば、Facebookの時代はまだまだ続くだろう。

株式会社リボルバーCEO兼ファウンダー。

複数のスタートアップを手がけてきた生粋のシリアルアントレプレナーが、徒然なるままに最新のテクノロジーやカッティングエッジなサービスなどについて語ります。

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