アメリカではYahoo!ってどうなの?
米Yahoo!が売上を落としながらも株価好調で、勢いを取り戻している。とはいえ、本業そのものの調子が戻った訳ではないし、Yahoo!ならではの新サービスのリリースに成功したわけでもない。とにかく、良さげなスタートアップを矢継ぎ早に買いまくっていることによる好印象が、株価を支えている。
しかも株式市場からすると、現CEOであるマリッサ・メイヤーが、基本戦略として買収目的を完全に人材目当てのAcqui-hireに絞り込んでおり、買収した企業やサービスはことごとく閉鎖していることを高く評価している。これまでのYahoo!は、メディア企業であることにこだわりすぎて、革新的な自社サービスをつくり上げることを怠ってきた。だから投資家からすれば、マリッサが買収戦略によって人材を集めているという事実は、今後のYahoo!がなんらかの新サービスを自社開発していくための準備であるという裏付けととらえているわけだ。
実際、マリッサがCEOに就任後、十数社を買収してきたが、Tumblr以外のサービスはほとんどが停止されている。トラフィックとブランドを買ったといえるのはこのTumblrだけであり、技術そのものを目当てで買ったのは、Summly(わずか17歳の少年がプログラミングした、ニュース記事の自動まとめアプリ)の買収くらいのものだ。
Yahoo!はデスクトップのトラフィックを効率よく換金するための手段として、ディスプレイ広告(バナー)を採用し、一時代を築いてきた。しかし、現在のインターネットのトラフィックはPCからモバイルにシフトし、マネタイズの源泉は枯れつつある。従って、Yahoo!が全力で取り組むべきはモバイルトラフィックを確保するためのサービス開発と、さらにそのトラフィックの換金方法の整備である。
このシンプルな戦略を一刻も早く形にするために、マリッサはAcqui-hireを繰り返している。要は時間を金で買っているのだ。
Tumblrの買収金額をのぞけば、だいたい20万~3000万ドル程度の小規模な買収(日本のM&Aとすれば相当の大成功と言える金額だが)ではあり、Yahoo!のキャッシュフローはいまだに潤沢であるので、今後もマリッサのショッピングは続くようだ。しかし、それでも、集めた人材を実際に使いこなして上述のようにモバイルトラフィックの増強と換金効率のアップを成し遂げなければ、成果を出したことにはならない。
彼女のCEOとしての真価は、2014年の第1四半期には問われることだろう。