魔の時間帯放課後

(ペイレスイメージズ/アフロ)

新潟市の小学2年生の女児が殺害される事件が起き、容疑者が逮捕されました。事件が起きた5月7日(月)、児童は線路で電車にひかれた姿で発見されました。事件の詳細は捜査の進展に任せたいと思いますが、子どもは2度と帰ってきません。5月7日と言えば、4連休が終わりゴールデンウイークが明けた日、お休み明けの朝に学校に行った我が子と二度と会えなくなった保護者の方を思うと今でも胸が張り裂けそうな気持ちになります。

〇事件は放課後に起きている

このような子どもが襲われる事件は本当に後を絶ちません。私は仕事柄、このような事件が起きると何時に起きたかを見てしまう習慣があります。今回の事件は以下の経緯でした。

15:15 児童が小学校を下校

   300メートルほど友人と歩き別れる

   線路脇を一人で歩く姿が目撃される

    …

16:20 保護者から学校に「子どもが家に帰ってこない」と電話が入る

   20人ほどで捜索

17:20 保護者が警察に捜索願を出す

   警察も含め100人態勢で捜索

22:30 線路で遺体で発見される

連れ去られたのは、家まであと5分あるかないかの場所で、時間は15:30前後ということになります。「またか」と落ち込む気持ちになりました。子どもの事件はほとんどがこの時間帯に起きているのです。以下は千葉県警が以前に公開した「子どもの犯罪の発生時間帯」です。

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ご覧の通り、午後3時から6時に事件が集中しています。この時間は「放課後」の時間です。そうです「事件は放課後に起きている」のです。子どもの事件の視点では「放課後は魔の時間帯」なのです。

もうひとつ、事件が集中している小さな山は午前7時台です。この時間は登校の時間です。皆さんもご記憶に新しい昨年春に発生した松戸市の小学3年生女児の殺害事件はこの時間に起きたと言われています。被告人が保護者会の元会長であったことも事件の衝撃性を高めました。

何しろ子どもが狙われるのは登下校時、登校時は人目も多く、児童もまとまって行動することが多いですが、下校時は人の目も減り、児童もバラバラに下校するためどうしても隙が生まれやすくなります。こうして放課後に事件が起きるのです。

〇第一の余波

こうした犯罪が起きると特徴的な第一の余波があります。それは「模倣犯が出ること」です。このような事件の後に、似たような事件が起きることが多いのです。因果関係は立証できませんが、経験則的にそのように言えます。今回実際に起きたのは、下記の事件でした。

5月11日(金)

東京都江東区の小学4年生女児は午前7時50分ごろ、路上で後ろから来た男に無言で左手首をつかまれ、手のひらをカッターで切られた。登校後に被害を訴え、校長が通報した。犯人は逃走中。

この事件は登校中が狙われました。事件が発生した場所は私も行ったことがあるのですが、そんなに目立たない場所ではありません。一瞬の隙に起きた事件です。今後も関連犯罪に警戒の目を光らせる必要があります。

〇第二の余波

このような事件はもうひとつ大きな悪影響である第二の余波をもたらします。それは「放課後は危ない」という認識です。悲惨な子どもの事件は日本全国に伝わり、大きな精神的ショックをもたらします。頑張って警戒していても一瞬の隙をつかれて事件が起きる。どこかで起きると別の地方でまた起きる。そして多くの場合、犯人は逮捕されますが、そのあとも保護者の心に大きな恐怖感が残ります。「事件は解決しても日本全国にショックをもたらし続ける」これが子どもの事件の大きな特徴です。

今回の事件で日本中の多くの保護者が肝を冷やしていると思います。折しも新学期が始まって1か月、学校にも新生活にも不慣れな中でこのような事件が起きると不安で仕方なくなります。これが保護者を悩ませる「小1の壁」をもたらす大きな要因になるのです。

〇放課後はどこへ行く

昔の人は「放課後は自由で楽しかった」「子どもだけで野山で遊んだ」と豊かな思い出を語ります。日本の放課後は「地域で子どもを育てる」お手本のような姿でした。しかし、このような事件が起きるたびにその姿は遠のいていきます。昔の人にとって放課後は様々な経験を積む「チャンスの時間」でしたが、現代の保護者にとっては「大いなるリスクの時間」です。

昭和の放課後は子どもたちのものでした。平成になり大人たちの見守りが必要になってきました。NEXT平成の時代の放課後はどこに向かっていくのでしょうか。子どもたちも保護者も安心して過ごせる環境が切に求められています。

天国に行った子どもの冥福を祈り、二度とこのようなことが起きないことを心から願います。