任天堂とDeNA提携。記者会見で語られなかった真の狙いとは?

昨日(2015年3月17日)、任天堂とDeNA(ディー・エヌ・エー)の資本提携が発表された。任天堂はDeNAに10%、DeNAは任天堂に1.24%をそれぞれ出資する。出資額はともに220億円。かなりの規模の資本提携だが、その核心部分については両社の社長から踏み込んだ話がなかったし、記者たちの突っ込みも甘かったように思う。

新聞、テレビ、インターネット。各メディアを合わせると一夜にして記事数は200件を超えているのではないだろうか。数で見れば予想していた以上の反響だったが中味は希薄だ。「スマホ向けゲーム開発で任天堂とDeNA、資本提携」「任天堂、スマホに本格参入」といったストレートニュースがほとんどである。DeNAのオンライン運営ノウハウをいかして、マリオやポケモンなど、任天堂のキャラクターを使ったゲームを出す。すなわち、昨日の記者会見を新作ソフト・方針説明会と受け取っての報道が目立つ。

この発表についての賛否はあるが、筆者は特にコメントはない。「ああ、そうですか」としか言いようがない。さらに何かを求められても、ガンホー、コロプラ、ミクシィに追いつけるように頑張ってください、といった冷ややかな感想ぐらいしか思いつかない。

任天堂とDeNAが手を結んだわけ。そしてこのニュースの核心はソフト開発ではなくプラットフォームにあると考えている。ゲーム産業の黎明期。独自ハードと流通網というプラットフォームを牛耳ったのは任天堂である。ガラケー全盛期に「モバゲー」のプラットフォームを握ったのはDeNAである。この両社が手を結んで復権を目指すというのが、隠された目標なのだろう。

プラットフォーム。特にゲーム用語としてのプラットフォームを辞書で調べると、ハードウェアやOSの独自規格と書いてある。ところがこの解説は10年以上も昔の考え方で、現在にマッチしているとは思えない。現在のプラットフォームとは、流通と金融決済のことである。ソフトを一箇所に集めてユーザーの手に届きやすくする。そこで消費された金銭を徴収して配分する。このふたつ機能を一手に牛耳る者がプラットフォームを持つ者=プラットフォームホルダーである。スマホ全盛期の今、プラットフォームを持っている企業は2社ある。App StoreとGoogle Playという流通と金融決済ルートを押さえているアップルとグーグルだ。

任天堂とDeNAは既存2大プラットフォームをかいくぐって第3の道を開く。これこそが今回の提携の真の狙いであるように思える。任天堂・岩田社長は会見席上で「新メンバーズサービスの共同開発」「新しいビジネスモデルを生み出せたら最高」と言った。また岩田社長、DeNA・守安社長ともに「短期のプロジェクトではなく中長期視点で大きな事業にしていく」とも言っている。

これら発言が意味するのは新しいプラットフォームの立ち上げ以外の何者でもない。だが、流通と金融決済を意味するプラットフォームという言葉を、あえて避けたように思えた昨日の会見だった。