携帯電話で連絡ができる高齢者は76.4%…高齢者の情報機器利用状況(2022年公開版)
新しい仕組みや道具により人々の生活は大きく変わっていく。その変化に困惑し、追い付けず、疎外感を覚える高齢者も少なくない。高齢者におけるパソコンや携帯電話のような情報機器の利用状況を、内閣府が発表した「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」(※)の結果から確認する。
次に示すのは調査対象母集団に対し、情報機器そのものやそれを用いたサービスを利用している状況を尋ねた結果。選択肢の並びは公開資料のままとしている。恐らくは難易度が低いと思われる順になっているのだろう。
ファックスを用いて連絡をしている人は5.8%。回答用紙には「ファックスで家族・友人などと連絡を取る」と記されており、業務用としての利用は別のように読み取れる。それでも、まだ5.8%の高齢者がファックスを連絡手段として用いている実情に驚く人もいるかもしれない。
もっとも多くの回答値を得ているのは「携帯電話で連絡(メール含む)」で76.4%。SNSの利用などは別選択肢にあるため、あくまでも通話か電子メールでの連絡となるが、3/4強の人が用いている。携帯電話は高齢者にとって欠かせない連絡ツールとしてのポジションにあるようだ。
一方で驚きなのはそれに続く「ネットで情報収集・ショッピング」の29.5%。ウェブサイトを行き来したり、検索エンジンを用いて情報収集、さらにはショッピングサイトを活用してお買い物をする高齢者が3割近くいる。
インターネットを用いたテキストベースのやり取りとしてはよく比較される電子メールとSNSだが、「SNSを利用」が16.6%なのに対し、「パソコンの電子メールで連絡」は14.3%。SNSの利用者の方が多いのが現状のようだ。
これを男女別・年齢階層別に見たのが次のグラフ。
多くの選択肢では、より年上の方が利用値は低くなっている。これは老化による心身の衰えで利用が難しくなるのと、もともとその世代では情報機器への馴染みが薄い現役の時期を過ごしており、親近感が薄いからだろう。
おおよその情報機器は女性よりも男性の方が利用値は高いが、ファックスは男女でほとんど変わらないことから、ファックスの利用ハードルの低さがうかがえる。また、具体的に何かを使う選択肢の中では、「ファックスで連絡」は数少ない、高齢者ほど高い値の傾向があるものとなっており、注目に値すべき結果ではある。
また「携帯電話で連絡(メール含む)」や「SNSを利用」は数少ない、男性よりも女性の値が高い年齢階層が多い選択肢となっている。女性が携帯電話によるコミュニケーションが好きなのは、年を取っても変わらないのだろう。
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※高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査
2021年12月6日から12月24日にかけて、層化二段無作為抽出を用いて選ばれた全国の60歳以上の男女に対し郵送調査法で行われたもので、有効回答数は2435人。男女比は1188対1247。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
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