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非喫煙者はたばこ休憩をどう思っているのか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
社内の喫煙所で喫煙をする時は当然「たばこ休憩」が必要になるが。(写真:イメージマート)

喫煙の際の副流煙などの問題から、職場での喫煙は専用の喫煙室などで行うよう求められているのが当たり前となっている。それに伴い、喫煙のために席を離れる「たばこ休憩」が生じることになるが、これについて非喫煙者からはサボりと同等ではないかとの反発が生じているとの話がある。今回はネットエイジアが2022年5月に発表した、非喫煙者意識調査(※)の結果から、非喫煙者の有職者が、「たばこ休憩」についてどのような印象を持っているのかについて確認する

次に示すのはたばこ休憩について「仕事・業務をきちんと遂行していればたばこ休憩をしてもいいと思う」との設問を提示し、それについて同意を示すか否か。全体では61.7%が同意を示す形となった。つまり仕事・業務をきちんと遂行さえしていれば、たばこ休憩を取っても特に問題は無いと考えている。

↑ 仕事・業務をきちんと遂行していればたばこ休憩をしてもいいと思う(非喫煙者のうち有職者限定)(2022年)
↑ 仕事・業務をきちんと遂行していればたばこ休憩をしてもいいと思う(非喫煙者のうち有職者限定)(2022年)

たばこ休憩への肯定派は年齢階層別ではおおよそ若年層ほど多い傾向がある。特に強い肯定の「非常にそう思う」は20代では22.4%と年齢階層別では唯一2割を超えている。一方で60代は46.6%と半数近くの人が否定派、つまり「仕事・業務をきちんと遂行していても、たばこ休憩は許されざるものである」との認識に至っている。就業時間中に席を離れる理由として、喫煙は許すまじと考えている人が60代では半数近くという結果は、禁煙をする有職者には頭の痛い話だろう。

また喫煙経験ありか無しかで区分したところ、当然ながら喫煙経験ありの方がたばこ休憩を肯定する人が多い傾向がみられる。特に「非常にそう思う」の値は2倍以上の差がついている。かつて喫煙していた身だからこそ、喫煙者の行動への理解もできるのだろう。

他方、新型コロナウイルスの流行でテレワーク化がおおいに進んだが、テレワーク時にまで従業員に禁煙を求める向きがある。職場だろうと自宅だろうと勤務中なのだから、勤務中に喫煙するべからずの認識を維持しておくべきであるとの考えなのだろうか。あるいはそれこそ、たばこをくわえたままでライブカメラに写って他の人とコミュニケーションを取るのは、禁煙の啓蒙に悪いとの認識かもしれない。

↑ 企業がテレワーク時まで従業員に禁煙を求めることはやり過ぎだと思う(非喫煙者のうち有職者限定)(2022年)
↑ 企業がテレワーク時まで従業員に禁煙を求めることはやり過ぎだと思う(非喫煙者のうち有職者限定)(2022年)

全体では64.7%の人が同意派、つまり企業がテレワーク時まで従業員に禁煙を求めることはやり過ぎだと考えている。テレワークでも就業中には違いないのだから、禁煙を求めるのは当然だという認識の人は35.3%と少数派。

年齢階層別では特に傾向だった動きはない。60代がやや同意派の値が低いという程度か。60代では43.3%の人がテレワークでも禁煙は当然だと考えている。

一方で喫煙経験のある無し別では、当然のことながら喫煙経験ありの人の方が、企業がテレワーク時まで従業員に禁煙を求めることはやり過ぎだと考えている人の割合は高い。実に69.8%の人がやり過ぎだとの認識。ただし喫煙経験が無い人でもやり過ぎだとの人は6割を超えており、喫煙経験がある人との差はさほど大きくはない。喫煙経験にかかわらず、企業がテレワーク時まで従業員に禁煙を求めることはやり過ぎだとの認識が支配的のようである。

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【国税・特別税・地方税あわせて1本あたり15.244円…たばこ税の推移(最新)】

【主要大都市圏での男女・年齢階層別喫煙率動向(国民生活基礎調査)(最新)】

※非喫煙者意識調査

2022年4月20日から21日にかけてインターネット経由で現在たばこを吸っていない20~69歳の男女に対して行われたもので、有効回答数は1000人。男女比・10歳区切りの年齢階層で均等割り当て。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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