共働き世帯の増加とともに注目を集めている、子供を預け入れる施設である幼稚園や保育所。その実情を内閣府が2021年6月に発表した「子供・若者白書」の2021年版などから確認する。

まずはおおよそではあるが、幼稚園と保育所そのものの説明を行う。双方とも幼児を預ける施設には違いない。他方、幼稚園は「学校教育法による教育施設」「3歳未満は非対象」「夕方前までには終業」、保育所は「児童福祉法による子供の保育施設(同法に該当しない保育施設は「認可外保育施設」と呼ばれる)」「原則ゼロ歳から小学入学前まで対象」「19時まで保育可能。最近ではそれ以降の場所も増えている」である。保護者、特に家事を行うことが多い母親の就労時間が伸びる傾向がある昨今では、保育所(保育園)の需要が増加しつつある。

さらに昨今の情勢を受け、2015年4月から子ども・子育て支援新制度が施行されたことに伴い、2015年からいくつかの新しいタイプの施設が誕生、統計上にもその数を反映している(認定こども園そのものは2006年から存在する)。

・特定地域型保育事業…保育所の一種だが、地域の保育需要にきめ細かい対応をする保育を提供する施設。20人未満が原則で、ゼロ歳から2歳児までの子供を預かる。認可事業で、ビルの一室や保育者の住宅、事務所などのスペースといった場所での事業展開もでき、保育所などよりも容易に設立が可能。

・幼稚園型認定こども園…幼稚園をベースとし保育所の「特徴」などを併せ持つ施設。1号認定園児は教育時間のみ、2号認定園児は教育時間後の保育をも受けることができる。法律上は学校扱い。

・幼保連携型認定こども園…幼稚園的機能と保育所的機能の両方の機能・施設をあわせ実装する単一の施設。法律上は学校と児童福祉施設の両方を持つ、単一の施設(以前はそれぞれ別施設扱いで法的な措置が行われていた)。

その幼稚園・保育所だが、この数年では保育所の数が増え、幼稚園は減りつつある。また利用者も保育所が増え、幼稚園は減少傾向を続けている。新しいタイプの施設はいずれもが数を増しているが、特に特定地域型保育事業の増加が著しい。なお幼稚園と保育所数の経年推移のグラフは、2014年までと2015年以降は確認できる施設の種類数が大きく異なるため、別々に作成している。

↑ 幼稚園と保育所数
↑ 幼稚園と保育所数

↑ 幼稚園と保育所数(2020年)
↑ 幼稚園と保育所数(2020年)

↑ 幼稚園の在園者数と保育所の利用児童数(万人)
↑ 幼稚園の在園者数と保育所の利用児童数(万人)

↑ 幼稚園の在園者数と保育所の利用児童数(人)(2020年)
↑ 幼稚園の在園者数と保育所の利用児童数(人)(2020年)

保育所の数が増え、幼稚園は減りつつあるのは、核家族化の進行・共働き世帯の増加に伴い、母親がパート・アルバイトで働いている間の子供の保育需要が増加したため。従来の幼稚園では14時から15時ぐらいに終業となってしまうため、それ以降の時間に母親が対応できず、夜まで対応可能な保育所の需要が増加している。また2015年の新制度施行に伴い、多彩なこども園などが制度化される形となり、保育所機能を持つ幼稚園型、幼稚園機能を持つ保育所型、幼稚園と保育所の双方施設を有する幼保連携型の認定こども園が登場(改正)し、幅広い需要に応える動きが広まっている。

2015年以降はそれら新制度上の認定こども園へのシフトが進んでいることもあり、従来型の保育所・幼稚園は数、利用者数ともに減少している。この動きは今後も続き、より幅広い、柔軟な需要に対応しうる認定こども園の増加が見られるに違いない。

昨今は行政をはじめとした各方面の努力で、少しずつ解消の方向に向かっているものの、需要の多い都市部を中心に、保育所不足が継続している。また労働市場の改善に伴い、パートやアルバイトに出る主婦層も増え、これが都市部における保育所不足に拍車をかける形となっている。

今後さらに少子化とともに人口の一部地域(都心部など生活の利便性が高い場所)への集中化、共働き世帯の増加が進むにつれて、特に都心部における保育所の問題はさらなるスポットライトを浴びることは間違いない。幼稚園・保育所・認定こども園の設置運営場所に関し、周辺住民との軋れきが相次ぎ伝えられている。状況の変化に伴い多様な様式の「認定こども園」の創設なども行われ、需要増加に対する対応は強化されているが、解決すべき問題は多い。現状と将来動向の予想をベースに、保護者が安心して保育できるような、そして正しい状況判断の上での、柔軟な施策が求められよう。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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