高度の情報処理能力を持ち、多彩なソフトで多様な実務をこなし、エンタメ部門の需要にも大いに応えてくれるパソコン。インターネットの普及とその窓口としてスマートフォンが多くの人の手に渡るようになり、相対的に利用価値は小さくなる一方で、今なお必要不可欠の場面も多い。また昨今では「若者のパソコン離れ」といった指摘もされている。それでは現状においては、どれほどまでにパソコンが普及し、利用されているのだろうか。今回は総務省が2021年8月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、パソコンの世帯普及状況や利用実態を確認する。

まずは自宅にパソコンがある人の状況。

↑ パソコン所有状況(自宅、属性別)(2020年)
↑ パソコン所有状況(自宅、属性別)(2020年)

全体では82.5%の人が自宅にパソコンがあると回答している。ただしそのうち回答者自身が使っているのは62.9%。残りは家族の他の誰か別の人が使っているか、何らかの理由でほこりをかぶっていることが予想される。男女別では男性の方が所有率も利用率も高い。所有率はあまり差が無いが、女性の非利用率が高いため、利用率には16.5%ポイントもの差が出ている。

気になる年齢階層別の所有状況だが、回答者自身の年齢による傾向のような動きは見られない。一方で利用率を見るとやはり10代は20~50代と比べると低い形となっている。また、60代も10代同様に低め。

10代の21.1%は「自宅にパソコンはあるが使っていない」とする層。あるいは使っていないのではなく、使わせてもらえないのかもしれない。いずれにせよ、10代のパソコン利用率は6割近くにとどまり、2割強は「自宅にあるが使っていない」実情にあることに違いはない。

パソコンは高価な端末であることから、低世帯年収ほどパソコンを取得する機会が少なくなる。それが若年層のパソコン離れ的な話の要因では無いかとの話があるが、今件調査値からも理由はともあれ結果としては同じ、世帯年収が低いほどパソコンの所有率・利用率が低い傾向にあることが確認できた。

一方、パソコン非所有者の動向を見ると、パソコンに関する属性によるスタンスの違いが見えてくる。値は各属性の全体に対するものであることに注意。

↑ パソコン所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2020年)
↑ パソコン所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2020年)

10~20代までは無い人の半数以上がパソコンを欲しいと思っているものの、30代以降になると無い人のうちいらないとする人の割合が半分を超え、増えていく。60代では無い人のうち9割近くが欲しくはないと答えている。学生・生徒(中学生から大学生)は自宅にパソコンが無い人のほぼ3/4は欲しいと思っているが、無職でほしい人は2割強でしかない。

世帯年収別動向だが、低世帯年収ほどパソコン所有率は低い=非所有率は高いものの、その多くは「無いが欲しい」ではなく、「無いしいらない」の回答。200万円未満では1/3強がパソコンは無いし欲しくないと答えている。一方で11.9%はパソコンは無いが欲しいと考えているのもまた事実ではある(ただし低世帯年収の世帯も多分に高齢者が世帯主の世帯であることも確か)。600~800万円の層では自宅にパソコンが無い人の過半数以上がパソコンは欲しいと考えているのも注目に値する。

今件における「自宅にパソコンがあるが利用していない」の回答は、家族構成員の別の人が利用している上で「使わせてもらえない」「使いたくない、使う必要性が感じられない」、さらに「自宅にパソコンはあるが誰も使っておらずほこりをかぶっている」などの多様なパターンが考えられる。世帯全体での利用状況を尋ねたわけではないので、家庭にあるパソコンの詳細状況は把握しきれたとはいえない。

とはいえ、各家庭におけるパソコンのポジションはある程度つかめる内容には違いあるまい。

■関連記事:

【年齢階層別にパソコンの世帯普及率の実情をさぐる(2020年公開版)】

【パソコンの買い替えをした世帯の割合(最新)】

※令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2021年1月12日から1月18日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」と但し書きを入れている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。