自動車乗車中の交通事故死者数の推移を年齢階層別にさぐる(2020年公開版)

↑ 交通事故やそれによる死者は日々報じられる。その中身は。(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

高齢者の交通事故死亡事件が相次ぎ報じられているが、実態として高齢者の死者数は交通事故全体のうちどれほどの割合を示しているのか。警察庁が2020年2月に発表した報告書「令和元年における交通死亡事故の特徴等について」から確認する。

最初は自動車乗車中の年齢階層別、交通事故死者数推移。経年による公開値を未成年(19歳以下)、成年(20~64歳)、高齢層(65歳以上)の3区分に再区分したものも併記する。今件はあくまでも自動車乗車中の事故により死亡した人の数をカウントしたもので、該当者が運転手であるとは限らない。一方、自動車運転免許の取得は日本の法令上16歳以上でないと不可能なため、15歳以下は原則的に「自ら運転している」状況はありえないことに注意。

↑ 自動車乗車中の交通事故死者数(人)
↑ 自動車乗車中の交通事故死者数(人)
↑ 自動車乗車中の交通事故死者数(年齢階層別、人)(2019年)
↑ 自動車乗車中の交通事故死者数(年齢階層別、人)(2019年)
↑ 自動車乗車中の交通事故死者数(積み上げグラフ、主要年齢階層別、人)
↑ 自動車乗車中の交通事故死者数(積み上げグラフ、主要年齢階層別、人)

自動車乗車中の死者数はおおよそ漸減の動き。ただし2011年以降は減少の動きが穏やかになり、下げ幅も限定的。さらに2016年では前年比でプラスを示すまでとなった。統計上のぶれも一因だが、高齢層の該当者数が増加しているのが大きな要因。

年齢階層別の人数では、未成年者や成年が減少傾向にある中で、高齢層は漸減から横ばい、さらには増加の動きすら見せる。これは高齢層の人口そのものの増加による上乗せと、安全対策の強化や医療技術の発達による減少作用が均衡していた、そして前者の影響力が強まり数を底上げしたものと考えられる。

直近2019年では前年比で未成年が増えたものの、成年、そしてなによりも高齢層が大きく減少したことで、全体としても大きく減少の動きを示す形となった。

続いてこれを主要年齢階層別に区分し、全体数に占める比率を算出したのが次のグラフ。高齢層の比率が漸増し、他の層が少しずつ減っているようすが見て取れる。

↑ 自動車乗車中の交通事故死者数(主要年齢階層別、全体比)
↑ 自動車乗車中の交通事故死者数(主要年齢階層別、全体比)

最初のグラフを見直せば分かるように、高齢層も2007年までは減少、2008年以降は横ばいに推移、その後は増加の動きを見せる年もある。他方それより下の層は(人口そのものの漸減も一因だが)数を減らしており、結果として全体に占める高齢層の比率は少しずつ上乗せされる形となる。直近年では前年比で高齢層の比率は減ったものの、全体比の半分以上なのは前年2018年から変わらず。今や「交通事故死者の半数以上は高齢層」である。

高齢者数そのものの増加や、自動車保有率の変化(ライフスタイルや可処分所得の多い少ない、居住地域の利便性の問題から、若年層は自動車の利用が減り、高齢者は増える)を鑑みると、高齢者の自動車乗車中による死者「数」は現時点のようなもみ合い状態が継続、そして増加トレンドに転じる可能性はある。要は該当層人口の増加率が、取り締まりや技術進化による減少率を上回ってしまうリスクがある。

高齢者においては片意地を張らずに、現状を認識した上で運転する・しないの判断をしてほしいもの。無論それに併せて地域社会における居住環境の整備問題、特にインフラ関連については、さらなる検証と対策が求められよう。

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