企業内の若者や非正社員の比率の実情をさぐる(2020年公開版)

↑ 職場に若者はどれほどいるのか。(写真:アフロ)

若年層や非正社員の就業は経済を語る上で欠かせない問題。その実情を厚生労働省の定期観測調査「若年者雇用実態調査」(※)の結果から確認する。

最初に示すのは、全体における若年か若年以外か・正社員か正社員以外かで区分した労働者の割合。事務所単位では24.0%が「若年労働者はいない」と回答している。それらの事務所も含め、全体としての労働者の属性別比率を算出したのが次のグラフ。青系統色は正社員・赤系統色は非正社員、ベタ塗りは若年以外(35歳以上)・ぼかし塗りは若年を示している。例えばグラフの左端は「青色のぼかし塗り」なので「若年の正社員」となる次第。

↑ 若年・若年以外別、正社員・正社員以外別労働者割合(産業別)(2018年)
↑ 若年・若年以外別、正社員・正社員以外別労働者割合(産業別)(2018年)

産業全体では正社員が約6割強・非正社員が4割近くで、これは総務省統計局が実施している労働力調査の結果で示されている値(2018年時点で正社員率62.1%)とほぼ一致する。一方、産業別に「赤青」系統色別、「ベタ塗り・ぼかし塗り」別で見ると、産業別の特性が色々と見えてくる。例えば卸売業・小売業やサービス業全般では35歳以上の非正社員が多いこと、特に飲食関係では7割強が非正社員で構成されている事など、である。

この図は資料性には優れているものの、それぞれの区分(若年か否か、正社員か否か)との視点では少々把握しにくい。そこでそれぞれの区分で数字を合算し、グラフを再構築する。まずは若年層か否か。

↑ 若年・若年以外別労働者割合(産業別)(2018年)
↑ 若年・若年以外別労働者割合(産業別)(2018年)

全体では労働者のうち3割足らずが若年層、残り7割強がそれ以外(35歳以上)で占められていることになる(若年層がいる・いないの事務所数比率とはいくぶんの差があることに注意)。情報通信業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業などでやや若年率が高めだが、一方で運輸業・郵便業や鉱業・採石業・砂利採取業、建設業などのように、2割前後しかいないところもある。業界の特性、人材の新陳代謝の違い、若年層からの人気のある無しなど、複数の要因が関係してくるので、一概に善悪を云々することはできないが、若年層が1割から2割前半の業界は今後人材不足となることが推測される。あるいは人員そのものが現状で余剰気味であることから、新人をあまり雇わず・雇えず、結果として高齢化状態となっている可能性もある。

続いて正社員か否かの区分。若年も若年以外も合わせた上での全労働者に関する値である。

↑ 正社員・正社員以外別労働者割合(産業別)(2018年)
↑ 正社員・正社員以外別労働者割合(産業別)(2018年)

一番非正社員率が高いのは宿泊業・飲食サービス業で73.1%。3/4近くが非正社員。これはファストフード店などを思い返せば、アルバイトが多数を占めている実態は容易に想像できる。また、スーパーなどのパートは卸売業・小売業に該当し、こちらも47.5%と高めの値。逆に専門職やインフラ系、第一次・第二次産業系では正社員の割合が高い。

全体的な構造の上で気になるのは、一部の第一次・第二次産業の形態で、「正社員・35歳以上」の比率が異様に高い点。業界そのものが人員削減のさ中にあるのなら仕方が無いが、そうでない場合には中期的に見た場合、突然急激な人員不足が起きる可能性を秘めていることになる(昨今の人材不足の一因は、まさにこの点にある。団塊世代がいちどきに定年退職を迎えたため、企業そのものを支える人材も多分に含む、この「正社員・35歳以上」の部分が企業からいなくなってしまっている)。

また、最初のグラフの「ベタ塗り赤系統色」、すなわち「35歳以上の非正社員」が多い業界も少々気にかかる。多くはパート、あるいは嘱託の人と考えられるが、この中にどれだけ「高齢なフリーター」が含まれているのかを考えると、少々気が重たくなるのも致し方あるまい。

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※若年者雇用実態調査

厚生労働省が5年おきに実施している調査で、直近分は2018年9月22日から10月15日(個人調査は10月11日から11月30日まで)の間に調査票郵送配布・郵送返信方式にて行われたもので、有効回答数は事務所調査が9455事務所、個人調査が1万9889人。現時点では2018年実施・2019年発表のものが最新となる。

用語定義は次の通り。

「若年労働者」…15~34歳の労働者

「常用労働者」…期間を定めずに雇われているか1か月を超える期間を定めて雇われている人

「正社員」…直接雇用関係のある雇用期間の定めのない労働者のうち、正社員・正職員など

「非正社員(資料上の表記では「正社員以外の労働者」)」…直接雇用関係のある労働者のうち、正社員・正職員などとされている”以外”の人(例 パート・アルバイト、契約社員など)

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。