Yahoo!ニュース

全体比で39.5%…テレビを使ったインターネットの使われ度合いをさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ テレビでインターネットもできる時代に。(写真:アフロ)

テレビでインターネットを利用した世帯、全体比では39.5%

2011年7月にテレビのデジタル化(地デジ化)が行われたことに伴い、テレビ受信機の世界も大きな変化の時代を迎えている。インターネット接続機能の実装がその流れの一つ。どこまで使われているのだろうか。その実情を総務省が2019年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に確認する。

次に示すのは各属性における、過去1年間にテレビでインターネットを利用したことがある世帯の割合。回答票選択肢には単に「テレビ」とのみあるが、インターネット接続機能を持つテレビでのインターネット利用を意味する。現状では多数のテレビがインターネットに接続できるタイプとなっており、実質的に「家庭用のテレビはインターネットへの接続ができるもの」として認識されているとの判断なのだろう。

全体では39.5%とあるので、全世帯のうち4割近くがテレビを使ってインターネットを利用していることになる。

↑ テレビでインターネットを利用した世帯(世帯主年齢階層別)(2018年)
↑ テレビでインターネットを利用した世帯(世帯主年齢階層別)(2018年)
↑ テレビでインターネットを利用した世帯(世帯構成別)(2018年)
↑ テレビでインターネットを利用した世帯(世帯構成別)(2018年)
↑ テレビでインターネットを利用した世帯(世帯年収別)(2018年)
↑ テレビでインターネットを利用した世帯(世帯年収別)(2018年)

まず世帯主の年齢別だが、若年世帯層の利用率が高い。以後、世帯主の年齢が上がるに連れて利用率は落ちていく。テレビそのものの利用率はむしろ高齢層の方が高いはずだが、それを用いたインターネットの利用は高齢層では苦手感を覚えるのか、必要性を感じないのだろうか。もっとも70歳以降でも3割台は利用していることを見るに、テレビによるインターネットと高齢者との相性はさほど悪くない、「ほとんど使われていないのでは?」といった世間一般のイメージよりは、はるかによいのもまた事実ではある。

世帯年収別ではおおよそ高年収の方が高い値を示している。もっとも1000万円以上になると頭打ちどころか下落すら見られるのは、多分に世帯年収と世帯主年齢は連動性があるのが原因だろう。

世帯構成別を見ると、高齢者が含まれる世帯における利用率は低めとなる。テレビそのものとの相性はよいとはいえ、そのテレビを用いてのインターネット利用となると、単純にテレビ観賞と比べればハードルは高いようだ。他方、特に子供がいる多人数家族における、娯楽・コミュニケーションツールとして、テレビでのインターネット機能が利用されていることを示唆する結果が出ているのは興味深い。家族の目の前でのアクセスとなるから、当然といえば当然なのだが。

テレビでインターネットにつないで何をしているか

ここで気になるのは、テレビでインターネットに接続をして、具体的にどのようなことをしているのか。そこで利用者に具体的利用目的を聞いた結果が次のグラフ。

↑ インターネット上のサービスの利用目的(テレビでインターネットを利用している世帯限定、複数回答)(2018年)
↑ インターネット上のサービスの利用目的(テレビでインターネットを利用している世帯限定、複数回答)(2018年)

VOD(ビデオオンデマンド、要望に応じてその場で視聴できるタイプの映像)の配信番組がもっとも多く43.0%、番組の内容に関連する情報の閲覧が40.9%と続く。そしてウェブ利用が24.9%。自分が好きな番組を観たり、番組に関連する情報を確認してさらに造詣を深めたり、ウェブを巡回して普通にインターネットアクセスを楽しんだりと、多様な使い方をしている。

これを世帯主の年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ インターネット上のサービスの利用目的(テレビでインターネットを利用している世帯限定、複数回答、世帯主年齢階層別)(2018年)
↑ インターネット上のサービスの利用目的(テレビでインターネットを利用している世帯限定、複数回答、世帯主年齢階層別)(2018年)

VODはおおよそ若年層の方が高め、番組の内容に関連した情報は法則性は無し、ウェブ利用は幅広い層で高めとなっている。世帯主の年齢が上の世帯でも、VODなどの配信番組や番組内容の関連情報、ウェブ利用はそれなりに使われているのが興味深い。

テレビでインターネットへのアクセス環境を整備し、利用ハードルを下げることで、インターネットの日常生活への普及もより進むかもしれない。もっともテレビが置かれている場所はおおよそ家族皆が集まるような場所でプライベートな使い方は難しいため、利用スタイルは通常のスマートフォンやパソコン経由のような、個人利用の使い方とは少々異なる傾向を示すことになるのだろう。

■関連記事:

ネット広告がテレビを抜いた国も…主要国のメディア別広告費構成率をグラフ化してみる

カラーテレビの普及率の現状を詳しくさぐる(2019年版)

※通信利用動向調査

2018年分は2018年10~12月に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対して、郵送による調査票の配布および回収の形式によって行われている(企業向けは一部オンラインでも実施されている)。有効回答数はそれぞれ1万6255世帯(4万2744人)、2119企業。世帯調査における調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事