アメリカ合衆国民の64%は「自国が関与をしなければ世界情勢はさらに悪化する」と考えている

↑ アメリカ合衆国による世界情勢への関与。自国民の見解は。(写真:U.S. Department of State/ロイター/アフロ)

アメリカ合衆国は巨大な経済力と軍事力を持ち、その影響力で世界の警察的な役割を果たしていると表現しても過言ではない。その方向性、選択は必ずしも万人にとって正しいものとは言い難いが、世界情勢に対して確実に影響を与え、軌道修正をさせたことは間違いない。今回は同国の民間調査会社Pew Research Centerが2019年4月に発表した、アメリカ合衆国における他国情勢への関与の是非やNATO(北大西洋条約機構、North Atlantic Treaty Organization)へ加盟していることの意義に関する調査報告書「Large Majorities in Both Parties Say NATO Is Good for the U.S.」(※)を基に、アメリカ合衆国国民自身がこのような姿勢をどのように受け止めているのか、その実情を確認する。

次に示すのはアメリカ合衆国の対外姿勢の根幹にある、世界情勢への積極的な関与の方向性について、どのような思いをいだいているかを二択で答えてもらったもの。要は「関与しなければ情勢はさらに悪化する」「関与行為はたいてい事態を悪化させている」どちらの傾向が強いと回答者は認識しているかである。自国の政策への正当性を見る調査項目ともいえよう。

↑ アメリカ合衆国の世界情勢への関与について(アメリカ合衆国)
↑ アメリカ合衆国の世界情勢への関与について(アメリカ合衆国)

少なくとも調査期間内では全回答時で「関与しなければ情勢はさらに悪化する」の方が同意率は高く、自国の政策を正当化する意見が多いことが分かる。しかもすべてで半数を超え、同意率は増加の動きすら見せている。

逆に「関与行為はたいてい事態を悪化させている」と関与する政策を否定する意見は少数派で、しかも同意率は減少傾向。直近の2019年1月では3割を切っている。アメリカ合衆国の対外積極介入政策は、同国民の多くに支持されているようだ。

これを支持政党別に見たのが次のグラフ。

↑ アメリカ合衆国が関与しなければ世界情勢はさらに悪化する(アメリカ合衆国、支持政党別)
↑ アメリカ合衆国が関与しなければ世界情勢はさらに悪化する(アメリカ合衆国、支持政党別)

「関与しなければ情勢はさらに悪化する」はどちらの政党支持者でも過半数の値を得ている。特に直近(トランプ大統領就任以降は初の調査)分では、共和党支持者の同意率は大きく増加し3/4を超える値を示している。トランプ大統領の対外積極政策は、特に自政党支持者にとって大きな評価を得ているようだ。

直近分の結果について属性別に実情を確認したのが次のグラフ。支持政党別の詳細区分が異なっているが、これは元々共和党支持者は多分に保守派、民主党支持者は多分にリベラルで、残りの考え方をまとめて一つにしないと有意値が算出できないからだろう。

↑ アメリカ合衆国の世界情勢への関与について(アメリカ合衆国、属性別)(2019年1月)
↑ アメリカ合衆国の世界情勢への関与について(アメリカ合衆国、属性別)(2019年1月)

年齢階層別ではおおよそ高齢者の方が「関与しなければ情勢はさらに悪化する」への同意率が高くなっている。18~29歳では50%に留まり、「関与行為はたいてい事態を悪化させている」との意見が43%にも達している。

共和党支持者では「関与しなければ情勢はさらに悪化する」への同意率は7割台だが、保守派の方が同意率はより高い。一方で民主党支持者は5割台に留まっており、特にリベラルでは同意率は低く54%でしかない。それぞれの支持政党そのものに加え、考え方が大きく影響しているようではある。

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※Large Majorities in Both Parties Say NATO Is Good for the U.S.

2019年3月20日から25日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の男女の中からRDD方式によって選ばれた人に対し、電話による対話回答形式によって行われたもので、有効回答数は1503人。固定電話は300人、携帯電話は1203人。国勢調査の結果に基づいたウェイトバックが実施されている。過去の調査も同様の様式で実施されている。

なお今記事の回答項目は同報告書に掲載されているものだが、質問は2019年1月に同じ条件で実施されたものが対象となっている。

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