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アメリカ合衆国でのソーシャルメディアの利用実情を詳しくさぐる(2019年版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ アメリカ合衆国でのソーシャルメディアの利用実情。年齢などの違いでは?(写真:アフロ)

インターネットに関する技術や流行り廃りでは常に先行するアメリカ合衆国。同国におけるソーシャルメディアの利用実情を、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2019年4月に発表した調査報告書「Share of U.S. adults using social media, including Facebook, is mostly unchanged since 2018」(※)から確認する。

最初に示すのは直近分の調査結果となる2019年1月における、ソーシャルメディアの利用実情。普段から使っているか否かについて、複数回答で尋ねている。もっとも多くの人が利用しているのはYouTubeで73%。アメリカ合衆国の18歳以上のうち7割以上が普段からYouTubeを利用していることになる。

↑ ソーシャルメディアの利用実情(アメリカ合衆国、2019年1月、18歳以上、複数回答)
↑ ソーシャルメディアの利用実情(アメリカ合衆国、2019年1月、18歳以上、複数回答)

それではこの利用率は属性でどのような違いがあるのか、その実情を確認してみる。今回は主に使われているFacebookとInstagram、そしてTwitterにスポットライトを当てる。YouTubeは利用率トップのソーシャルメディアには違いないが、他のサービスとは少々性質が異なるため、今回は省略する。

その3つのソーシャルメディアの属性別利用実情を確認したのが次のグラフ。

↑ ソーシャルメディアの利用実情(アメリカ合衆国、2019年1月、18歳以上、属性別)
↑ ソーシャルメディアの利用実情(アメリカ合衆国、2019年1月、18歳以上、属性別)

まずFacebook。ソーシャルメディアの黎明期からもっともよく語られ知名度もあり、老若男女を問わず使っている、ソーシャルメディアの代名詞的存在といったイメージがあるが、そのイメージに見合うだけの実情を示している。属性別で利用率に大きな差異は見られない。とはいえよく見ると、男性よりも女性、特に25~29歳、世帯年収が高いほど、都市部居住者ほど、よく利用している実情が確認できる。65歳以上では利用率が半数を切っている。

他方Instagramでは割合的に男女の差異がFacebookよりも大きい(%ポイントの差は12%ポイントで変わらないが、女性の対男性比はFacebookがプラス19%なのに対しInstagramではプラス39%)。年齢階層別では18~24歳の利用率が極めて高く75%と、とりわけ若年層に好まれているのが分かる。65歳以上では8%しか利用していない。高世帯年収・高学歴・都市部ほど利用率が高いのはFacebookと同じ。

一方でTwitterでは男女の差異はさほど大きくないが、Instagram同様に18~24歳の利用率が一番高く44%。きれいな形で高年齢層ほど利用率が低くなっている。世帯年収や学歴、居住地域による動向は他のソーシャルメディアと変わらず、高世帯年収・高学歴・都市部ほど利用率が高い。ただし世帯年収別では7.5万ドル以上の人のみ高い値を示しているのが印象的。

ちなみにこれらのサービス利用者における、実際の利用頻度は次の通りとなっている。

↑ ソーシャルメディアの利用頻度(アメリカ合衆国、2019年1月、18歳以上、利用者限定)
↑ ソーシャルメディアの利用頻度(アメリカ合衆国、2019年1月、18歳以上、利用者限定)

それぞれのサービスの機能や利用スタイルの違いから、一概に単純比較することは問題があるのだが、むしろ利用ハードルが低いTwitterよりもFacebookの方が頻繁に使われているのは意外な気がする。実に半数以上のFacebook使いが、毎日数回はアクセスしているという。1日1回もアクセスはしていない人は26%でしかない。

他方、Twitterでは利用者の6割近くが1日1回もアクセスはしていないとのこと。1日何回もアクセスする人は25%に留まっているのが実情ではある。

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※Share of U.S. adults using social media, including Facebook, is mostly unchanged since 2018

該当する調査は2019年1月8日から2月7日にかけて、アメリカ合衆国内に居住する18歳以上を対象に、RDD方式で無作為抽出された人に対し電話の通話によるインタビュー形式で行われたもので、有効回答数は1502人。うち302人は固定電話経由、1200人は携帯電話経由(そのうち779人は固定電話非保有者)。各種属性に関して国勢調査の結果を基にウェイトバックが行われている。過去の調査も同様の様式で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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