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ソーシャルメディアでニュースの確認、さてその情報源は? 西欧の実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スマートフォンでお気軽にニュース取得。その情報源は知っているところか。(写真:アフロ)

社会の日々の移り変わりや国内外のさまざまな動向を知るのに欠かせないニュース。そのニュースの情報源としてよく使われるソーシャルメディアにおける情報源の確認について、西欧の実情をアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年5月に発表した調査「In Western Europe, Public Attitudes Toward News Media More Divided by Populist Views Than Left-Right Ideology」(※)の報告書の内容を基にさぐる。

今調査の限りでは国によって違いがあるものの、4割台から6割台の人がソーシャルメディアを使ってニュースを取得している。

↑ ソーシャルメディアからニュースを取得する頻度(2017年10~12月)
↑ ソーシャルメディアからニュースを取得する頻度(2017年10~12月)

それではソーシャルメディアでニュースを取得している人達は、そのニュースの情報源にどれほどのこだわりを持っているのだろうか。もっともよく利用する情報源についてどのような媒体、個人が発しているのかなど気にしない(分からない)を意味する「気にしない」、情報源はよく知らないところだとする「よく知らない情報源」、どのような個人・組織かその実情を認識した上で使っているを意味する「よく知っている情報源」の3択から選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 普段もっとも利用する、ソーシャルメディアで取得するニュースの情報源(ソーシャルメディアでニュースを取得する人限定)(2017年10~12月)
↑ 普段もっとも利用する、ソーシャルメディアで取得するニュースの情報源(ソーシャルメディアでニュースを取得する人限定)(2017年10~12月)

情報源がどこであろうと気にしていない「気にしない」の回答率はフランスが一番高く35%、次いでオランダの34%、イタリアの32%。「よく知らない情報源」はイタリアがもっとも高い値で16%、次いでドイツの14%、スウェーデンの13%と続く。イタリアもスウェーデンもソーシャルメディアからニュースを取得する人は多いが、その情報源の信ぴょう性にはあまりこだわっていないようだ。

ネタ的な話として割り切った上での取得なら情報源が不確かなものでも問題はさほど無いのだが、正しい情報であるとの前提の上でニュースの取得をしているのであれば、誤報や虚報、さらにはフェイクニュースに振り回される可能性が高くなる。もっとも「よく知っている情報源」、つまり出元がはっきりしているところからのニュースでも、それらのような話を発信する事例が増えているのが実情だが。

この情報源の確からしさについて、興味深い数字も報告書では伝えている。ソーシャルメディアからのニュースの取得頻度で区分した場合、「よく知っている情報源」からニュースを取得する人の割合には明確な違いが出ているというものだ。

↑ 普段もっとも利用する、ソーシャルメディアで取得するニュースはよく知っている情報源からの人(ソーシャルメディアでニュースを取得する人限定、ソーシャルメディアでニュースを取得する頻度別)(2017年10~12月)
↑ 普段もっとも利用する、ソーシャルメディアで取得するニュースはよく知っている情報源からの人(ソーシャルメディアでニュースを取得する人限定、ソーシャルメディアでニュースを取得する頻度別)(2017年10~12月)

国ごとに違いはあるが、一様にニュースを高頻度で取得する人はその情報源についてもこだわりを持っている、自分がどのような情報源からニュースを取得しているのかを認識している人が多いことになる。それだけ情報源の確からしさについて、重要性を認識しているということだろう。

見方を変えると、ソーシャルメディアからのニュース取得が日課で無い人は、そのニュースの出所がどこであるかについて、あまり気にしていない、確からしさを求めていないといことになる。このようなニュース取得者こそが、フェイクニュースや虚偽情報に振り回されやすいのかもしれない。

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※In Western Europe, Public Attitudes Toward News Media More Divided by Populist Views Than Left-Right Ideology

2017年10月から12月にかけて西欧諸国(デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデン、イギリス)を対象にしたもので、有効回答数は各国2000人強。RDD方式によって選ばれた18歳以上の自国居住者を対象に電話(固定電話と携帯電話双方)によるインタビュー形式で実施されている。結果の値にはそれぞれの国の国勢調査の結果を用いたウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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