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1つだけ、それとも2つ、さらに…ニュースの情報源を多角的に利用しているか否か、西欧諸国の実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 朝食時に新聞や携帯電話でニュースの確認。多角的な情報源の利用はよくある話?(写真:アフロ)

社会の日々の移り変わりや国内外のさまざまな動向を知るのに欠かせないニュース。その情報源について、人々は単一のものに執着しているのか、複数を多角的に利用しているのか。西欧諸国の実情を、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年5月に発表した調査「In Western Europe, Public Attitudes Toward News Media More Divided by Populist Views Than Left-Right Ideology」(※)の報告書の内容から確認する。

今調査の対象国では「テレビ」「インターネット」「ラジオ」「紙媒体」とニュースの情報源を区分した場合、多くの国ではテレビがもっとも多数の人に使われていた。

↑ 少なくともニュースの情報源として毎日1度以上利用する媒体は(複数回答)(2017年10~12月)
↑ 少なくともニュースの情報源として毎日1度以上利用する媒体は(複数回答)(2017年10~12月)

4つの選択肢の合算がどの国も100%を超えていることから、複数の情報源を利用している人がいることは明らか。それでは具体的に、どれほどの人がニュースの情報源を複数利用しているのか。それを具体的に尋ねたのが次のグラフ。ゼロの人も併せて回答してもらっているので、情報源からニュースを取得しない人の実情も推し量れる。

↑ 少なくともニュースの情報源として毎日1度以上利用する媒体の数は(2017年10~12月)
↑ 少なくともニュースの情報源として毎日1度以上利用する媒体の数は(2017年10~12月)

もっとも情報源が多い「3つか4つ」の回答率はスウェーデンが一番多く50%。18歳以上の半数はニュースの情報源に関して「テレビ」「インターネット」「ラジオ」「紙媒体」のうち3つか4つを利用していることになる。さほどニュースを気にしない人にとっては、多忙さを感じさせるような状態かもしれない。そのスウェーデンではゼロの回答も3%と、イタリア同様に今調査対象国では最少の値を計上していることから、ニュースへの関心度が高いことが考えられる。

「3つか4つ」の多い順にドイツ、デンマーク、イタリア、オランダ、スペイン、フランス、イギリスと続くが、「2つ」の値は大きな違いは無く、「1つ」「ゼロ」が少しずつ増えていくような傾向がある。それぞれの国の媒体事情(新聞の浸透度合い、テレビ局やラジオ局の多さ、インターネットの浸透度)やニュースを取得する時の文化的な差によるところもあるのだろうが、それぞれの国のニュースへの関心度の高低がそのまま表れていると見てもあながち間違いではあるまい。

また、1つ目のグラフの結果と併せ見ると、多くの国々ではニュースの情報源としてテレビを主要な対象としながらも、他の媒体も積極的に用い、比較検証しているのだろうという推論が成り立つ。無論、環境による使い分け(例えば出勤中にスマートフォンでニュースを確認するのは楽にできるが、テレビでニュースを観るのは難しいだろう)の結果でもあることは容易に想像できるのだが。

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※In Western Europe, Public Attitudes Toward News Media More Divided by Populist Views Than Left-Right Ideology

2017年10月から12月にかけて西欧諸国(デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデン、イギリス)を対象にしたもので、有効回答数は各国2000人強。RDD方式によって選ばれた18歳以上の自国居住者を対象に電話(固定電話と携帯電話双方)によるインタビュー形式で実施されている。結果の値にはそれぞれの国の国勢調査の結果を用いたウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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