Yahoo!ニュース

「タメ」や「ガチ」は若者言葉なのか、20代では使ったことがある人は85.7%だが…

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 部下と上司の「ガチ」での勝負。(写真:アフロ)

何かをきっかけに新しい表現方法が登場し、世の中に受け入れられることはよくある話。今回は文化庁が2018年9月に発表した平成29年度分の「国語に関する世論調査」(※)の結果を基に、比較的新しい表現と思われる「タメ」「ガチ」について、年齢階層別の利用実情を確認する。

次に示すのは「タメ」という言い回しについて、聞いたことが無いか、聞いたことはあるが使うことは無いか、使うことがあるかの三択を提示し、回答者の実情に一番近いものを選択してもらった結果。分からないとの回答もありうるので、当然全部を足しても100%にはならない。設問では例文として「彼とはタメ口で話をする」とある。

なお「タメ」の意味は「相手を対等として扱う」というものだが、1960年代に不良と呼ばれる人たちが使っていたのが広がった、語源はサイコロの賭博における「同目(ゾロ目)」が変化したものとの説がある。実際には「タメ口(ためぐち)」以外のフレーズではあまり用いられることは無い。

↑ 聞いたこと・使ったことがある言い方か(「タメ」、年齢階層別)(2018年)
↑ 聞いたこと・使ったことがある言い方か(「タメ」、年齢階層別)(2018年)

16~19歳では85.5%もの人が使ったことがあるとしているが、40代あたりから値は落ち、70歳以上では13.2%に留まっている。他方、聞いたことすら無いとの人は16-19歳で7.2%だが30-40代まではむしろそれより低い値となり、50代以降から急上昇していく。

60代までは少なくとも聞いたことがあるものの、年を経るに連れて自分から使うことがある人は減っていく。70歳以上になると聞いたことすらない人が急に増えていく。「タメ」に関しては若年層ほど使うことが多く、それとは別に現在における60代と70歳以降との間で言葉の浸透そのものにギャップが生じている雰囲気がある。

続いて「ガチ」。設問では「ガチで勝負をする」との例文が挙げられている。「ガチ」の意味は「本気で」「真面目に」「真剣に」の意味で、似たような言い回しの「マジ」と比べると「ガチ」の方が本気度が強いようなイメージがある。また語源としては相撲界の隠語「ガチンコ」(真剣勝負)から来たとの説がある。

↑ 聞いたこと・使ったことがある言い方か(「ガチ」、年齢階層別)(2018年)
↑ 聞いたこと・使ったことがある言い方か(「ガチ」、年齢階層別)(2018年)

「タメ」と似たような傾向だが、「ガチ」の方が使う人の割合は低めに留まり、代わりに聞いたことはあるが自分で使うことは無いとする人の割合が多めとなっている。そしてやはり70歳以上になると聞いたことが無いとする人が急に増える現象が生じており、「タメ」同様に60代と70歳以降との間で言葉の浸透そのものにギャップが生じているような結果が出ている。

もっともこのような「若年層の方が使用率は高い」「30~40代で聞いたことが無い人の割合がもっとも低くなる」「70歳以上になると聞いたことすらない人が急増する」傾向は、今調査における同項目の他のフレーズ「ほぼほぼ」「立ち位置」でも生じている。新しい表現、慣用句におけるギャップが、流行に敏感な若年層がよく使うことに加え、現役世代か否かで生じている、他人(特に他世代)とのコミュニケーションの機会の多少によるところが大きいと仮定すれば、説明できそうな気がするが、どうだろうか。

■関連記事:

「確信犯」の本来の意味、知ってます?

世代間格差が生じている慣用句の意味のとらえ方

※国語に関する世論調査

最新分となる2017年度版は2018年3月に全国16歳以上の男女に対して個別面接調査方式で行われたもので、有効回答数は2022人。調査対象の抽出方式や属性別構成比は非公開。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事