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スマホとガラケーどちらが多いか…モバイル端末の利用状況をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 携帯電話のスマートフォンへのシフトは急激に進行中。現状はいかに。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・スマートフォンの利用率は80.4%、従来型携帯電話は25.2%(2017年)。

・10代から50代まではスマートフォンの利用率が上だが、60代では従来型携帯電話の方が上になる。

・タブレット型端末の利用率は34.3%。年齢階層別では50代から60代でやや低くなるが、60代でも20.4%が利用している。

日本の従来型携帯電話(ガラケー)はインターネットへのアクセスが可能でビジュアル面も充実しており、マルチメディアフォンと呼ばれる面もあるほどの高機能ぶりを持つことから、利用者がその機能に満足してしまい、スマートフォンへの移行が他国と比べて遅れ気味だったものの、昨今では急速にシフトが進みつつある。新型機として市場に新規投入される機種の大部分がスマートフォンであることから、特に若年層のスマートフォン利用率は年単位で大きく伸びていることが各調査でも判明している。今回は総務省が2018年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から、従来型携帯電話、スマートフォン、そして同じモバイル機としてタブレット型端末の合わせて3媒体における、利用の現状などを確認する。

次に示すグラフは年齢階層別の従来型携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末の利用率。所有率ではないので、所有権の必要は無い(10代では利用していても自分の所有物で無い可能性がある)。

↑ スマートフォン・従来型携帯電話・タブレット型端末利用率(年齢階層別)(2017年)
↑ スマートフォン・従来型携帯電話・タブレット型端末利用率(年齢階層別)(2017年)

例えば20代ではスマートフォンと従来型携帯の回答値の合計が100%を超え107.0%となることから、双方端末を同時に利用している人が少なからずいることが分かる。利用スタイルとして使い分けているか、あるいは単に移行の過程にあるかは人それぞれだが、双方項目の年齢階層別の回答率を見るに、従来型携帯電話からスマートフォンへの移行が若年層から少しずつ起きていることが分かる。

全体ではスマートフォンと従来型の差異は55.2%ポイントの差が出ているが、10代から40代まではそれをはるかに超える圧倒的な差でスマートフォンの方が上。また50代ではまだ3人に1人、60代では2人に1人が従来型携帯電話を利用しているが、40代までは2割にも届かない。

スマートフォンの利用率は20代がピークで、以下歳を経るに連れて漸減。従来型携帯電話は10代が最小値で、それ以降は年齢とともに上昇していく。現時点では50代までがスマートフォンの方が上の年齢階層で、60代でようやく従来型携帯電話の方が上となる。

他方タブレット型端末だが、30代がピークの4割超を示しているが、携帯電話ほど年齢階層別の差異が出ていない。これは先行記事などで触れているが、個人所有の事例がさほどなく、世帯別での所有機として家族皆で使う事例が多々あり、年齢階層別の利用率の差が出にくいことが要因と考えられる。また全体値で従来型携帯電話の値を超えたのも、注目に値する。

従来型携帯電話よりもスマートフォンの利用率が極めて高い若年層と、まだ従来型がそれなりに利用されている高齢層という構造の、携帯電話の利用状況。家庭共用スタイルが多く年齢階層間格差があまり出ないタブレット型端末。若年層ではすでに飽和状態に近づき、中年層にシフトし、高齢層にも影響がおよび始めたスマートフォン化の波。携帯電話関連、モバイル系の他調査でかいま見られた動向が、ずばりそのまま明確化した形で現れる結果が出ている。

特に従来型携帯からスマートフォンへのシフト動向は貴重なデータで、今後スマートフォンの普及状況がどのような変化を見せるのかを推し量ることができる。今件の結果の限りでは、すでに50代まではスマートフォンの普及が進み(利用率が過半数)、従来型携帯電話とスマートフォンの立ち位置は逆転したが、60代(以降)のスマートフォンへのシフトは他年齢階層と比べればゆっくりな動きとなることが予想される。何しろ現状でまだ半数ほどが従来型携帯電話を利用している。

高齢層の利用スタイルを想像すれば、それは容易に納得ができるものであるし、何か技術的に劇的な変化が無い限り、スマートフォンの利用率上昇そのものは継続するが、今後も従来型携帯電話の優位さが継続するのは容易に想像できよう。

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※平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2017年11月11日から17日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。グラフ・本文中の表記の「10代」は、厳密には13~19歳を意味する。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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