Yahoo!ニュース

世界のスマートスピーカーやAR・VRの市場規模実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 未来のコンシェルジェ的な存在のスマートスピーカー。その市場動向は。(写真:ロイター/アフロ)

・スマートスピーカーの世界規模での市場は拡大中。出荷台数は2017年には0.27億台だが、2020年には予想として0.89億台にまで拡大する。

・ARやVRの世界規模での市場規模やVRヘッドセットの出荷台数は拡大中。サービスへの支出額はVRの方が大きい。

新技術を用いた新しい商品として注目を集めているスマートスピーカーや、ARやVRと呼ばれる疑似現実技術による商品。その市場規模の実情を、総務省が2018年7月に公開した、2018年版となる最新の「情報通信白書」の内容から確認する。

まず最初に示すのは、世界のスマートスピーカーのスマートフォンの市場規模。2017年までが確定値で2018年以降は予想値。データの一次ソースはアメリカ合衆国の情報調査機関IHS Markitのテクノロジー部局IHS Technologyとなっている。今件はあくまでも市場規模≒出荷台数で、該当年に出荷された台数であり、その時点で利用されている台数では無いことに注意。

↑ 世界のスマートスピーカー市場規模(2018年以降は予想値、億台)
↑ 世界のスマートスピーカー市場規模(2018年以降は予想値、億台)

収録データは2017年以降のみだが、IT系企業の大手がこぞってスマートスピーカーの展開を始めたのは2014年のアマゾンによる「Amazon Echo」がきっかけ。現在ではアマゾン以外にグーグル、アップル、マイクロソフト、ソニー、LINEなどがそれぞれ独自のスマートスピーカーを展開している。単純に利便性の提供だけで無く、利用者の生活の囲い込みをすることで多様なデータが取得でき、そして経済活動そのものを掌握できることから、期待は非常に大きなものと思われる。

2020年における予想値は年間0.89億台。2017年時点の0.27億台の3倍以上。あるいはこれすらも、まだ甘い予想かもしれない。

続いてARやVRと呼ばれる疑似現実技術関連市場。似ているようで別物だが、ざっと説明すると次の通り。

・AR…Augmented Reality(拡張現実)

現実世界の情報に仮想情報を加えて反映させていくもの。メインは現実世界の情報。「ポケモンGO」が好例。アニメではARの概念がよく分かるものとして「電脳コイル」が知られている。

・VR…Virtual Reality(仮想現実)

コンピューターなどを用いて疑似的な仮想空間を生成し、利用者がその空間に存在しているかのような体験をさせる技術。HMD(Head Mounted Display、ヘッドマウントディスプレイ)が使われることが多い。

ARとVRとではVRの方が利用者ベースでの利用ツールが多くなり支出額が大きくなることから(ARは概して利用者がすでに持っている他のデジタルツールでの活用となる)、実情・予想値でもVRの方が大きな市場規模を示している。

↑ 世界のAR/VR市場規模・VRヘッドセット出荷台数(2018年以降は予想値、億ドル・万台)
↑ 世界のAR/VR市場規模・VRヘッドセット出荷台数(2018年以降は予想値、億ドル・万台)

VRの方が市場規模は大きいものの、AR・VRともに大きく成長中で、今後もそのペースが継続することが予想されていることには違いない。

白書では「コンシューマー向けのエンターテイメント用途と企業向けの教育・訓練用途などがともに拡大している。コンシューマー向けではゲームや観光地での疑似体験などでAR/VRが活用されている。企業向けでは、不動産会社のモデルルームを体験できるサービスや、設備点検おける作業手順のナビゲーションなどにAR/VRが活用されている」とし、単にエンターテインメント部門だけでなく実用部門でも実績をあげており、今後も領域を拡大していくことが期待できると記されている。

インターネットやスマートフォンのように一定の普及率を示すことで、その普及を前提とした新たな企画や商品、サービスの参入も容易になり、それは市場の相乗効果的な広がりにつながっていく。市場規模の広がりとともに、どのような世界が展開されるのか、それもまた今後が楽しみな話ではある。

■関連記事:

誌上で試乗ができるARアプリ

4マス全体への業種別広告費の10年間の変化をさぐる

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事