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「遅刻連絡はメールかLINEで」は5割近くがOK…今どきの新社会人の認識をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「遅れます」メールで伝えるのはありか無しか。(写真:アフロ)

・新社会人にとって「スマートフォンやタブレット型端末でメモをする行為」は6割強が肯定できる行為(2018年)。

・遅刻や欠勤連絡をメールやLINEでする行為は5割近くが肯定。経年推移では肯定派が増加傾向。

・年度内に有給休暇をほぼ、あるいはすべて消化する行為には8割以上が肯定。

流行もの、普及しているもの、社会環境の変化に伴い、常識は少しずつ変化していく。10年単位で世代が変わると、常識と認識していたものがすでに過去の話となっていたこともよくある話。今年、あるいは昨年会社勤めを始めた新社会人は、世間一般(の一部)からは非常識、あるいは控えるべきだと思われていそうな要件について、どのような意識を持っているのだろうか。ソニー生命保険が2018年4月に発表した、新社会人に対して行った意識調査「社会人1年目と2年目の意識調査2018」(※)から、その実情を確認する。

情報機器の取り扱いや職場でのコミュニケーション、ライフスタイルに関し、若年層では当たり前だと認識されていることが多い生活様式に関して、社会人として行うのはあり(肯定派)とするか、無し(否定派)と見るべきか、二択で選んでもらい、ありの回答率を示したのが次のグラフ。

同様の調査は過去にも実施されており、グラフではその回答を併記してある。ただし項目の一部は入れ替わりをしているため、回答率が空欄の部分もある。その項目は回答率がゼロなのでは無く、該当する質問が行われていないことを意味する。例えば「腕時計はせず(時間は携帯電話で)」は2016年・2018年では調査対象として挙げられていないので、その部分は空欄となっている。

↑ 次のような社会人をありだと思うか無しと思うか(あり=肯定派の回答率)
↑ 次のような社会人をありだと思うか無しと思うか(あり=肯定派の回答率)

スマートフォンやタブレット型端末でメモをする行為を肯定する人は6割強。過去の調査結果もさほど変化は無く、肯定派が多数。端からは遊んでいるように見えるかもしれないが、合理的な手法には違いなく、むしろ否定する方が時代遅れとすら解釈できる。

ソーシャルメディア自身でもよく話題に上る、何らかのトラブルで遅刻を余儀なくされたり、体調不良などで欠勤をする際の、上司や同僚への説明・報告に関して、メールやLINEによる連絡は、肯定派は5割近く。本人の利用スタイルの範囲では積極的な電子機器の利用は「あり、だろう」とのレベルだが、他人、特に上司に対する行為は、相手側の印象もあり、肯定する人はまだ多くは無いようだ。あるいは(メールやLINEがお手軽な意志疎通ツールであることから)「仕事を軽く見ているのか」と思われることへの懸念もあるのだろう。

もっとも、経年推移の限りでは肯定派は増加中で、直近年でも一応は少数派で、5割強は否定派ではあるが、年々肯定派は増える傾向にある。メールやLINEによる意思表示が一般化への歩みを示している。

他方、必要も無く残業することを肯定する人は1/7程度でしかない。その考えを実行に移せるか否かは職場環境や上司との力関係次第だが、周囲が残業をしているから自分も(用は無いが)居残りをする行為には、否定的なようだ。

有給休暇を次年度に繰り越すこと無く消費するスタイルには、8割以上が肯定の意見を示している。会社側が怪訝な様相で有給休暇申請への対応をしたり、さりげなく取得しないように促すケースも多々見聞きするが、与えられた権利として有効に活用すべしとの考えを持つ人が多数に及んでいる。

一方で他人とのコミュニケーションや意思疎通の観点では眉をひそめる人もいるかもしれない「遅刻・欠勤連絡を親にしてもらう」「先輩からおごってもらえると思って財布を出そうとしない」について、肯定派は少数。無論、状況によっては仕方が無い、むしろ当然なケースもあるが、一般的には肯定は難しいとの認識は、新社会人でも同じようだ。

今件の各項目は職種や職場の決まりごと、風土によって左右される面もあるため、一概に肯定・否定することは困難。あくまでも全般的な風潮としてこのような傾向がある、との認識で受け止めればよいだろう。

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※社会人1年目と2年目の意識調査2018

2018年3月16日から3月23日にかけて、「今春就職する社会人1年生」「就職してから1年経過した社会人2年生」(いずれも20代)に対して携帯電話経由のインターネット調査形式で行われたもので、有効回答数はそれぞれ500人。男女比はそれぞれ1対1。調査協力会社はネットエイジア。過去の調査もほぼ同様の条件で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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