Yahoo!ニュース

携帯電話の買い替えをした世帯の実情をさぐる(総世帯編)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 携帯電話は一人に一台の時代。家族構成員が多ければ買い替えの機会も増える。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・2018年時点で携帯電話を過去1年間に買い替えした経験のある世帯は総世帯のうち22.9%。

・世帯単位での携帯電話の買い替え率は2014年以降では2016年で19.4%ともっとも低い値となり、それ以降は増加。

・買い替え世帯率は大よそ男性、若年層、高世帯年収層ほど高い。

多機能さから魔法のアイテムのような存在の携帯電話(スマートフォンと従来型携帯電話の双方)。世帯ベースではどれぐらいの割合で買い替えが行われているのか。内閣府の消費動向調査(※)の結果から確認する。

次に示すのは総世帯、つまり全世帯における世帯単位の携帯電話買い替え状況。2018年は22.9%とあるので、2割強の世帯が調査回答時点で過去1年間に携帯電話の買い替えを経験していることになる。

↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位)
↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位)

直近の2018年は前年2017年と比べるといくぶん高め。5年分しか経年データが取得できないため、2017年から生じている上昇の動きが単なるぶれの範囲なのか、別の理由があるのかまでは判断が難しい。もっとも、2016年を底に世帯率が上昇しているような雰囲気は感じられる。

また新規購入世帯はカウントされていないことに注意。単価が安いことに加え、世帯構成人数が複数の場合、いずれか一人でも買い替え経験者が居れば該当世帯となるため、高めの値が出るのは道理が通る。

これを買い替え理由別に見たのが次のグラフ。2017年の総計が上のグラフとは異なっているが、これは「住居変更」の値が0.0%で表記されていることからも分かる通り、計算結果と表記上の都合によるもの。

↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位)(買い替え理由別)
↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位)(買い替え理由別)

新機種は漸次発表・発売されている。また格安スマホへの乗り換えが「その他」の項目を押し上げている可能性はあるが、詳細までは分からない。他方2018年における「上位品目」の前年比での増加は、2017年9月に発売を開始したiPhone 8/8Plus、2017年11月発売開始のiPhone Xが後押しをした可能性はある。「故障」の回答も、手持ちの端末が以前から何らかのトラブルを抱えていたが、新機種発売を機会に、という可能性はある。

最後は直近年における主要属性別。

↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位、属性別、2018年)
↑ 携帯電話買い替え世帯率(総世帯、世帯単位、属性別、2018年)

やはり若年層世帯の買い替え率が高い。また、世帯年収別ではほぼきれいな形で高年収ほど高い買い替え率が出ている。年収750万円以上の世帯では3割強が携帯電話の買い替えを果たしていることになる。

携帯電話は新機種の展開に伴う買い替え需要が大きいため、iPhoneの新機種発売やau、ドコモの参入といった大型のイベント発生時における買い替え状況の動向を見たいところだが、残念ながらデータが2014年分以降しか公開されていないため、今回のような形となった。今後新たな、携帯電話市場を大きく揺るがすようなイベントがあれば、それを反映した値が計上されるに違いない。

■関連記事:

1年で大きな変化を示す小中高校生のインターネット機器利用状況をさぐる

高校生はスマートフォン約9割…小中高校生のデジタル機器利用の実情をさぐる

※内閣府の消費動向調査

今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することにより、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。

毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の買い替え状況」を今件精査では用いている。これは「対象品目を回答年度(今回の場合は2017年4月~2018年3月)に買い替えをしていた場合、買い替え前の商品はどれだけの期間使っていたか」を尋ねた結果。つまり直近の買い替え実施者における「買い替えまでの年数」が示されることになる。もちろん新規に購入した場合や、買い替えが該当時期で無かった場合は回答に加わらない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事