夕刊は実際にどれほど読まれているのか

↑ 帰宅時に駅売店にある夕刊の前垂れPOPの内容に驚くこともあるが…(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

・夕刊を毎日読む人は15.4%、まったく読まない人は7割強。

・夕刊を毎日読む人は女性より男性、若年層より高齢層の方が多い。しかし70歳以上でも3割に届かない。

・夕刊を頻度は問わずにとにかく読む人は23.4%。18歳から30代までは1割前後。

夕刊閲読率は23.4%

紙媒体としての新聞の発行部数が漸減しているのは周知の事実で、購読者数もそれに連れて減少している。それでは実際、朝刊以上に厳しい状態と言われる夕刊はどれほど読まれているのだろうか。新聞通信調査会が2018年1月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果から確認する。

次に示すのは新聞のうち夕刊の閲読状況。購読では無く閲読であることから、回答者自身が購入していなくても、読んでいれば該当することになる。例えば配偶者が購入しておりその夕刊の回し読みをする、職場で定期契約をしているのを読み通すなども閲読には含まれる。参考として同様の質問を朝刊に関して行った結果も併記する。

↑ 新聞(夕刊)の閲読頻度(2017年度)
↑ 新聞(夕刊)の閲読頻度(2017年度)
↑ (参考)新聞(朝刊)の閲読頻度(2017年度)
↑ (参考)新聞(朝刊)の閲読頻度(2017年度)

印象的には朝刊と夕刊で「毎日」と「読まない」がそのまま入れ替わった雰囲気がある。ただし夕刊では実際には「毎日」読む人の値は朝刊の「読まない」よりも少なく、「週4~5日」などそれなりの頻度で読む人の値も夕刊では減っており、読まない人にシフトした形。毎日読む人は15.4%のみで、低頻度で読む人を積み上げても23.4%しかいない。見方を変えれば、18歳以上の大人たちの間で、夕刊を読んでいる人はまだ2割強もいることになる。

配られるタイミングが夕方以降となり、職場などでの回し読みが難しいのも夕刊の閲読率が低い一因ではあるが、それ以上に夕刊そのものの需要が大きく減少しているのが主要因なのだろう。実際後述するが、中期的には若年層から中堅層の閲読者減少率は大きなものとなっており、帰宅途中の就業者で夕刊購読を止めてしまった人が多数に及んでいる状況が容易に想像できる。

属性別傾向は?

続いて示すのは、夕刊を毎日読んでいる人、そして頻度は問わずにとにかく読んでいる人について、属性別に確認したもの。

↑ 新聞(夕刊)の閲読頻度(毎日読む人)(属性別)
↑ 新聞(夕刊)の閲読頻度(毎日読む人)(属性別)
↑ 新聞(夕刊)の閲読頻度(読む人合計)(属性別)
↑ 新聞(夕刊)の閲読頻度(読む人合計)(属性別)

毎日読む人は、実質的に自宅での月ぎめのような定期購読者あるいは通勤・通学の帰りに必ず売店に寄って購入する熱心な愛読者と見てよいだろう。そのような人は直近の2017年度では全体で15.4%。男女差が開いているのは、やはり電車やバスなどの公共交通機関での移動(通勤・通学)の際に読んでいることを示唆する結果である。

他方年齢階層別では朝刊や新聞そのものの閲読、さらには購読性向同様、若年層ほど低く、高齢層ほど高くなる(特にここ数年は18~19歳がゼロとなっている)。この傾向は「頻度はともかく読む人」でも大きな変わりは無いが、年齢階層間の格差は30代までは小さなものとなっている。若年層でも時折は夕刊を手に取る人がいるようだ。もっともそれでも1割前後でしか無いのだが。

前年度からの差異を見ると、前年度で生じた大きな減少の反動による増加がいくつかの属性で見られる。とはいえ全体的な減少傾向から転換したわけでは無く、夕刊が読まれなくなっていることに変わりは無い。

見方を変えると新聞が好きな高齢層でも、毎日読む人は3割足らず、とにかく読む人ですら3割前後しかいないことが分かる。朝刊と夕刊の発行間隔は大よそ半日。その間に変化する情勢を新聞で追い求めるほどの需要はそれほどは無いものと考えられる。地域色や独自色、読み物的記事が多いのも夕刊の特徴だが、そのような工夫をもってしても、朝刊ほどの需要は確保できないようだ。

部数減少度合いでは夕刊は朝刊以上に危機的な状況にある。回し読みなどを合算しても、閲読者率は朝刊よりはるかに小さい。今調査では別項目で「夕刊発行の存続」について尋ねているが、それによると4割近くが「無くなってもよい」、4割強は「どちらでもよい」と回答しており、存続を望む人は2割を切っている。

全廃するほどの需要の減少は起き難いが、今後さらに需要が縮小すれば、何紙かは休刊を余儀なくされることもあるに違いない。

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※メディアに関する世論調査

直近分となる第10回は2017年11月2日から11月21日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3169人。有効回答者の属性は男性1526人・女性1643人、18~19歳63人・20代274人・30代422人・40代567人・50代504人・60代601人・70代以上738人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。