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他の行動とともにテレビを見ている人は42.9%

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 食事をしながらスマホの操作。「ながら行動」はいつ、どこででも。(写真:アフロ)

・もっとも「ながら行動」の対象となりやすいのはテレビ。42.9%がテレビを見ながら他の行動をしている。

・テレビを見ながら行われる「ながら行動」は夕食、朝食、昼食など食事が多い。

・コンピューターを使用しながら行われる「ながら行動」は昼食、通勤、夕食が多い。

物事に集中している時には他の行動には手をつけられないのが普通だが、それほど注力が必要で無い場合には、他の行動も同時に行うことがある。これを「ながら行動」と呼んでいる。日常生活の中で人々はどのような「ながら行動」をしているのだろうか。総務省統計局の社会生活基本調査(※)の結果を基に、その実情を確認する。

次に示すのは何らかの目的のためにある行動をしている時(主行動)、一緒に・並行して行っている「ながら行動」(同時行動)の割合。例えばテレビは42.9%とあるので、全体で42.9%の人が何かの行動をした時に、テレビを見ながらしたと回答している。この値が高い行動ほど、他の行動に併せて行われていることが多い、「ながら行動」の対象となりやすいことを意味する。

↑ 同時行動の種類別行動者率(2016年、10歳以上、週全体平均)
↑ 同時行動の種類別行動者率(2016年、10歳以上、週全体平均)

一番「ながら行動」の対象となりやすいのはテレビ(の観賞)で42.9%。次いでコンピューターの使用で21.5%。これはパソコンだけで無くスマートフォンや従来型携帯電話、タブレット型端末などを用いたインターネットの使用も含まれている。さらに衣類などの手入れ、新聞・雑誌(の閲読)、軽飲食などが続く。「ながら行動」としてはテレビとともにイメージされやすいラジオは5.2%に留まっている。

それでは見方を変えて、テレビを「ながら行動」の対象とする主行動にはどのようなものがあるのだろうか。

↑ テレビを同時行動とする主行動の種類別行動者率(2016年、10歳以上、週全体平均)
↑ テレビを同時行動とする主行動の種類別行動者率(2016年、10歳以上、週全体平均)

トップは夕食。夕食をする人のうち24.6%がテレビを見ながらの行動となる。次いで朝食が19.0%、昼食が12.6%。昼食が低めなのは、平日ではテレビを見る機会が減るからだろう。続いて食事の管理(食事の用意や後片付け)、身の回りの用事が続く。食事をする際にはテレビとともにとのライフスタイルの人が多いようだ。

他方、恐らくはスマートフォンの操作をしながらであろうコンピューターの使用では昼食がトップとなっている。

↑ コンピューターの使用を同時行動とする主行動の種類別行動者率(2016年、10歳以上、週全体平均)
↑ コンピューターの使用を同時行動とする主行動の種類別行動者率(2016年、10歳以上、週全体平均)

夕食や朝食では無く昼食がトップなのは、自宅で無い場所、具体的には学校や職場などでの食事のため、家族の目を気にすること無く使えるからだと考えられる。しかし全体値では8.0%に留まっている。続いて通勤が4.0%、夕食が3.8%、朝食が3.1%。

テレビを見ながらスマートフォンを操作して情報の確認をしたりチャットでリアルタイムにやり取りをする情景が想像できるテレビとの回答は2.4%。全体でテレビ観賞をメインとしてコンピューターの使用をしている人は約42人に1人となる。ちなみにグラフ化は略するが、逆にコンピューターの使用を主行動として、同時行動にテレビを挙げている人は1.1%。やはりテレビを見るのがメインとする人の方が多いようだ。

「ながら行動」の対象としては昔はテレビが主役的な存在だったが、スマートフォンの登場によりその便宜性の高さから多くの人の「ながら行動」の対象として使われるようになりつつある。主行動を妨げる、能率を下げるような状況に陥らないように気をつけつつ、上手に使いこなしていきたいものである。

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※社会生活基本調査

5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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