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未婚? 既婚? 親と同居している人の婚姻状態をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 子供の世話をお願いするために結婚後も親と同居する場合も(写真:アフロ)

多くの人は子供時代を親元で暮らし、大学生や社会人になると共に親世帯から離れていく。他方、子供の世話を頼むなどの理由で親と共に暮らし続ける人もいる。今回は国勢調査の最新版となる2015年分の統計公開値をもとに、婚姻状態別に親と同居する子供の実情を探る。

次に示すのは親と同居している人が未婚か否かに仕切り分けした上での、親と同居している人の動向。グラフの項目には単純に「既婚」としているが、実際には単純に配偶者がいる状態以外に、離婚した人、死別した人、さらには配偶関係が不明な人も含まれている。離婚・死別の場合は色々と想像できるところもあるが、それを裏付ける値の調査は行われていないので、すべて未婚以外として「既婚」にまとめている。

↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(未既婚別)(2015年、国勢調査)(男性)
↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(未既婚別)(2015年、国勢調査)(男性)
↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(未既婚別)(2015年、国勢調査)(女性)
↑ 年齢階層別・親との同居数(万人)(未既婚別)(2015年、国勢調査)(女性)

法的に結婚が不可能な年齢では既婚者がゼロなのは当然だが、男性では20代前半、女性では10代後半から既婚の同居者が確認できるようになる。その後、死別や離別も合わせ既婚者は女性の方が大よそ多く、50代後半でほぼ同数となり、60代以降は男性の方が多くなる。

成人して社会人となり、結婚してもなお親と同居を続ける理由は複数考えられる。親離れ・子離れができない、金銭的に別世帯をもうけるのが難しい、就業場所が親世帯に近いので便宜性の上で同居しているなど。

他に既婚世帯で子供がいる場合、子供の世話を親にお願いするために同居している場合もあろう。仕事がある既婚世帯の場合、子供が幼い時は親に(子供にとっては祖父母)に子育てを任せる場合も少なくない。

↑ 末子の乳幼児の年齢別にみた、「仕事あり」の母の世帯における日中の保育の状況の割合(複数回答)(2016年)(棒グラフ)(親族関係は末子の乳幼児から見た関係)(国民生活基礎調査(厚生労働省)から作成)
↑ 末子の乳幼児の年齢別にみた、「仕事あり」の母の世帯における日中の保育の状況の割合(複数回答)(2016年)(棒グラフ)(親族関係は末子の乳幼児から見た関係)(国民生活基礎調査(厚生労働省)から作成)

他方、回答者自身が壮齢以上における親との同居では、親の介護(トラブル発生時に即時対応するための見張り的立場も含む)のために同居している可能性が高い。今後は高齢化の進行と共に、介護するために親と同居する既婚世帯は今以上に増え、いわゆる老老介護(介護する側とされる側双方が高齢者)の数も増加するに違いない。

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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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