親と同居している人達の実情をさぐる
多くの人は子供時代を親の庇護下で暮らし、大学生、あるいは社会人となった時に自立をして親世帯から離れていく。一方で就業や金銭問題、親の介護など、様々な事情で大人になっても親と共に暮らしている人もいる。今回は国勢調査の最新版となる2015年分の統計公開値をもとに、親と同居する人の実情を確認する。
2015年時点で親と同居している人は4275万1006人。本人の年齢階層別に仕切り分け、さらに男女別に細分化した結果が次のグラフ。同居している理由までは問われていない。
未成年者はほとんどが親と同居しているために数は多い。20歳を過ぎると大きく数を減らし、40代前半でやや増えるのを除けば、一様に減る傾向を示す。これは単に経済的に安定を得て自立をする人が増えるだけでなく、親が定年退職を迎えて人生の区切りをつける意味で子供の世帯から離れたり、親が亡くなる場合が増えるのが原因。また同居をしていなくても、縁が切れたわけではないことに注意。昨今流行りの近居スタイルを取っている場合もあり得る。
男女別を見ると、未成年においては子供の人口構成同様に男性の方が多い。20代前半になると女性の方が多くなるが、これは就業しても一人暮らしが防犯面などで難しいための結果だろう。しかし20代後半以降は再び男性の方が多くなる。女性の方が親元を離れ自前の住居を構える意思が強いのかもしれない。あるいは結婚して実家を出る人の割合が、男性よりも多いということか。
この傾向は単純な人数の動向だけでなく、その年齢階層における総人数比でも生じている。
未成年者はほぼ全員が親元で暮らしている(祖父母の世帯で暮らすなどの事情のケースもあるため、100%にはならない)。高校卒業の年齢ぐらいから比率は落ちていくが、女性の方が男性よりも値が高くなる現象は10代後半と20代前半で生じている。高校を卒業して、あるいは大学へ進学しての一人暮らしは、男性と比べて女性はハードルが高いのだろう。あるいは若くして結婚し子供ができ、その世話を子供にとっての祖父母(自分自身にとっては父母)にお願いしている場合もあるのかもしれない。
他方、60代前半でも男性で17%、女性でも13%が親と同居しているとの実情に、驚きを覚える人もいるかもしれない。この場合の親の年齢は75歳以上になっているはずで、多分に介護のための同居と考えられる。
国勢調査の同項目では、同居している人の就業状態による仕切り分けも行われている。具体的には就業者か非就業者かであるが、非就業者には完全失業者と非労働力人口が該当し、その区別はされていない。そのため、今回は精査を見送っている。
とはいえ、色々な実情が見えてくる結果ではある。
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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。