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都道府県別で大きな違いを見せる喫煙率の実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 喫煙率は地域差があるのか否か(ペイレスイメージズ/アフロ)

健康意識の高まりなどを受け、喫煙をする人は減少中との話がある。その喫煙をする人の割合は地域によって違いがあるのだろうか。厚生労働省が2017年6月に発表した「国民生活基礎調査の概況」(※)から確認する。

今調査項目では20歳以上の人に対して喫煙しているか否かにつき、「毎日吸っている」「時々吸う日がある」「以前は吸っていたが1か月以上吸っていない」「吸わない」「不詳」のいずれかであるかを尋ねている。そのうち現在吸っている「毎日吸っている」「時々吸う日がある」の項目における回答者を加算し、全体に対する喫煙率を算出したのが次のグラフ。例えば東京都では18.3%とあるので成人全体の2割近くが喫煙者となる。なお熊本県及び熊本市は先の熊本地震の影響で調査未実施のため、数字は空欄となっている。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(都道府県別)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(都道府県別)

全国平均では19.8%。大人の5人に1人近くは喫煙者。案外少ないように思えるが、男女合わせてであることを考えれば納得もいくはず。都道府県別では最大で7.6%ポイントの差異が生じているが(最大は北海道の24.7%、最少は奈良県の17.1%)、際立った違いまでには達していない。

地域別の際に関する傾向は特段無いようにも見えるが、やや強引に傾向付けるとすれば西高東低ならぬ西低東高、つまり西日本ほど低く、東日本ほど高いといったところか。ただし西日本でも北九州地区では高めな値が出ているのは興味深い。

喫煙率の高低をもう少し分かりやすくするため、値の高い順に並び替えたのが次のグラフ。北海道のずば抜けた高さ、それも合わせて東日本、特に北日本の高さが把握できる。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(都道府県別)(喫煙率順)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(都道府県別)(喫煙率順)

北日本が高い値を示すのは、気候上の寒冷さが影響しているのだろうか。今調査からのみでは判断はできないが、相関関係はありそうだ。ただし上位陣に、佐賀県が入っているのは意外感を覚えるが。

なお同調査では都道府県区分に加え、21大都市圏における動向も提示されている。同じ算出方法で喫煙率を求めた結果が次のグラフ。

↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(21大都市別)
↑ 喫煙率(国民生活基礎調査、2016年)(21大都市別)

大阪府は元々喫煙率が高い方ではあるが、大阪市では飛びぬけて高いこと、同じ神奈川県でも川崎市はやや高めに出ていることなど、同じ都道府県内でも都市によって違いが生じている。個々の都市における内情によるものだろうが、興味深い話ではある。

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※国民生活基礎調査

全国の世帯及び世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2016年6月2日・7月16日にそれぞれ世帯票・所得票・介護票、所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収できたデータは世帯票・健康票が22万4208世帯分、所得票・貯蓄票が2万4604世帯分、介護票が6790人分。

今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2016年分)は大調査に該当する年であり、世帯票・所得票だけでなく、健康票・介護票・貯蓄票に該当する調査も実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大地震・震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分はデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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