「子供無し世帯」「一人親と子供のみ世帯」が増加中…いわゆる「核家族」の中身の実情をさぐる

↑ 増加中の核家族。その内情は……(写真:アフロ)

核家族は増加中だが、その中身は

世帯構成の一様式である「核家族」。その構成の実情変化を厚労省の国民生活基礎調査(※)の結果をもとに確認する。

今回取り上げる「核家族」とは「夫婦のみ」「夫婦+未婚の子供」「父親か母親のどちらか一方+未婚の子供」からなる世帯であると定義されている。要は三世代世帯ではない、核のみの世帯。1人だけで構成される「単独世帯」は含まれないことに注意。

まず「核家族」そのものだが、漸増を続けている。

↑ 種類別世帯数推移(万世帯、1968年~2016年)(折れ線グラフ)
↑ 種類別世帯数推移(万世帯、1968年~2016年)(折れ線グラフ)

そこで核家族を「夫婦のみ」「夫婦+未婚の子供」「父親か母親のどちらか一方+未婚の子供」の構成区分で区別して、それぞれの要素の推移を見ることにする。「夫婦のみ」はいわゆる「DINKS(ダブルインカム・ノーキッズ)」のライフスタイルを取ると自主的に決めている、あるいは諸般の事情でそうせざるを得ない夫婦の場合もあれば、(結婚してからまだ日が浅く)子供が授けられていないだけの場合もある。「父親か母親のどちらか一方+未婚の子供」は配偶者と死別、離婚した、あるいはいわゆる「未婚の母(・父)」の場合が想定される。または独り身となった親と、その親を介護する子供で構成される世帯もありうる。さらには片方の親が3か月以上の長期出張をしているなどで別居している場合も考えられる(その場合は今調査の項目において該当者は調査から除外される)。

まずは各種類の世帯数を積み上げた棒グラフが次の図。核家族が全体として増加しているのは先のグラフにもある通りだが、その内部構成の動向は「子供がいない核家族世帯の大幅な増加」と「一人親+未婚の子世帯の漸増」であることが分かる。

↑ 核家族世帯における世帯種類別推移(万世帯、1968年~2016年、積上げグラフ)
↑ 核家族世帯における世帯種類別推移(万世帯、1968年~2016年、積上げグラフ)

夫婦と子供から成る、世間一般的なイメージとしての核家族数は1980年代までは急増、その後は横ばい、そして1990年以降は漸減に転じた。そして今世紀に入ってからは1450万世帯から1500万世帯のボックス圏内での推移に移行し、安定した値動きとなっている。一方で夫婦のみ・一人親と子供世帯は漸増を続けており、核家族内の構造も少しずつ変化を遂げている。

構成比の算出で構造変化を見る

続いて、全核家族世帯数に占める世帯種類別構成比推移。このグラフの生成で、「核家族」を指し示す構造世帯の中身が、年月の経過と共に少しずつ変わりつつあるようすが良くわかる。

↑ 全核家族世帯数に占める世帯種類別構成比推移(1968年~2016年)
↑ 全核家族世帯数に占める世帯種類別構成比推移(1968年~2016年)

中央部分の赤い「夫婦と未婚の子供のみ」世帯の比率が年月の経過と共に漸減し、両サイド(「夫婦のみ」と「一人親と未婚の子のみ」)から圧迫を受けているのが確認できる。特に「夫婦のみ」の比率増加は著しく、この50年近くで核家族全体に占める割合は2倍以上となっている。

また今世紀に入ってからは、その「夫婦のみ」世帯比率の増加も落ち着きを見せ、「一人親と未婚の子のみ」が増加を継続しているのが目に留まる。上記でも触れているが、高齢化に伴い介護される側・する側で構成される世帯、高齢者夫婦の片方が亡くなることで片親と子供だけ(子供の人数は単数とは限らない)となった世帯、さらには離婚した子持ち夫婦の増加によるものと考えられる。

最後に純粋な世帯数を折れ線グラフにしたものを生成する。

↑ 核家族世帯における世帯種類別推移(万世帯、1968年~2016年)(折れ線グラフ)
↑ 核家族世帯における世帯種類別推移(万世帯、1968年~2016年)(折れ線グラフ)

「夫婦と未婚の子供のみ」世帯”数”は上記でも言及した通り、1980年代までは急増したものの、その後は横ばい、さらに1990年以降は漸減に転じ、今世紀に入ってからは横ばいに。一方で「子供がいない核家族世帯の大幅な増加」と「一人親+未婚の子世帯の漸増」が確認できる。ただし今世紀以降は「一人親と未婚の子世帯の増加率が上昇」といった、新たな構造の変化が確認できる。

「一人親+未婚の子世帯の漸増」は高齢者がいる世帯の増加で説明ができる。一方で「子供がいない核家族世帯」、つまり「夫婦だけの世帯」の増加は、単に「子供が授かるのを待っている状態」「しばらく新婚生活を楽しみたい世帯」の増加だけでは説明がつきにくい。

色々と理由を探してみたが、「結婚しても子供を持つ必要性を感じない夫婦の増加」が大きな要因と考えられる。要は「子供を持つ事に消極的な、親と同居もしない夫婦だけの世帯が増加している」ことになる。

世帯・家族に対する価値観の変化や、生活の上での金銭的な厳しさがこの傾向をもたらしているのだとすれば、早急に何らかの、そして長期的な視点で対策をする必要があろう。

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※国民生活基礎調査

全国の世帯及び世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2016年6月2日・7月16日にそれぞれ世帯票・所得票・介護票、所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収できたデータは世帯票・健康票が22万4208世帯分、所得票・貯蓄票が2万4604世帯分、介護票が6790人分。

今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2016年分)は大調査に該当する年であり、世帯票・所得票だけでなく、健康票・介護票・貯蓄票に該当する調査も実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大地震・震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分はデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。