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スマホとタブレットの普及率の変化をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スマホもタブレットも機動力のあるネット端末として急速に浸透中(ペイレスイメージズ/アフロ)

世帯別普及率、そして保有世帯の台数

デジタル端末として、インターネットへのアクセス機器として、今スポットライトを浴びているのがスマートフォンとタブレット型端末。似て非なる存在であり、パソコンの代替機として注目を集めている。今回は内閣府が定期的に実施している「消費動向調査」において、2014年分から詳細区分によるデータ取得が始まった、この2種類の端末について、いくつかの切り口から普及率などの動向を確認していく。

まずはスマートフォンとタブレット型端末の、世帯単位の普及率推移。なお1世帯に何台所有機が存在しても、普及率は変わらない。例えば1世帯にスマートフォンが10台あったとしても、その世帯の普及率が1000%になるわけではない。

↑ スマートフォン普及率推移(世帯単位)
↑ スマートフォン普及率推移(世帯単位)
↑ タブレット型端末普及率推移(世帯単位)
↑ タブレット型端末普及率推移(世帯単位)

直近2017年においてスマートフォンは60.3%、タブレット型端末は28.7%の世帯ベースでの普及率を有している。単身世帯・二人以上世帯双方とも前年から比べ、一様に増加傾向を示している。スマートフォンではいくぶん単身世帯の方が上昇率は高めだが、タブレット型端末では世帯種類別の違いはほぼ見らられない。

所有世帯における平均台数は次の通り。

↑ スマートフォン保有数推移(保有世帯あたり、台)
↑ スマートフォン保有数推移(保有世帯あたり、台)
↑ タブレット型端末保有数推移(保有世帯あたり、台)
↑ タブレット型端末保有数推移(保有世帯あたり、台)

タブレット型端末では2015年で単身世帯において保有数の減少が見られた。直近となる2016年以降はほぼ横ばいに推移しており、「とりあえず一台」の新規保有世帯が増えたことによる平均台数の低下が生じたものと考えられる。あるいは2014年の値がイレギュラーだった可能性も否定できない。とはいえ単身世帯でも、保有世帯では平均で1台以上のタブレット型端末を有しているのは興味深い。

スマートフォンでは二人以上世帯における台数が漸増中。幼い子供がいる世帯で、従来型携帯電話でなくスマートフォンを持たせる世帯が増えてきたのだろうか。

世帯の年収別では?

続いて世帯年収別。二人以上世帯と単身世帯を合わせた総世帯では、世帯年収別動向を確認してもあまり意味が無いことから、単身世帯・二人以上世帯それぞれに仕切り分けした上で年収別の推移を見ていくことにする。

↑ 世帯年収別スマートフォン普及率(単身世帯)
↑ 世帯年収別スマートフォン普及率(単身世帯)
↑ 世帯年収別スマートフォン普及率(二人以上世帯)
↑ 世帯年収別スマートフォン普及率(二人以上世帯)

単身世帯では高年収層で多分なばらつきが生じているが、これは回答世帯数そのものが少ないことから生じたぶれによるもの(加えて、単身高所得者は概してシニア層となるため、年齢の影響が強い結果が出てしまう)。もっとも直近年の2017年では大よそ前年から値を積み増ししている。他方二人以上世帯ではきれいな形でゆるやかな上昇が生じている。高年収なほど高普及率が維持されたまま、すべての年収層で年の経過と共に底上げされている形。

タブレット型端末も大よそ同じスタイルを見せている。

↑ 世帯年収別タブレット型端末普及率(単身世帯)
↑ 世帯年収別タブレット型端末普及率(単身世帯)
↑ 世帯年収別タブレット型端末普及率(二人以上世帯)
↑ 世帯年収別タブレット型端末普及率(二人以上世帯)

単身世帯ではスマートフォン同様にイレギュラー(さらに2015年の1200万円以上世帯は該当世帯数そのものが少数なため、実測値計上がされていない)が生じているが、両端末とも高年収ほど高保有率、年を経るほど普及率上昇の動きが確認できる。年収950万円以上の二人以上世帯では、半数以上でタブレット型端末を所有していることになる。

年齢別と性別(単身世帯のみ)

最後は世帯主の性別や年齢区分別の保有率だが、これは単身世帯のみで精査を行う。二人以上世帯では世帯主と配偶者の世代が近しい事例がほとんどだが、子供の居る・居ない、さらには子供の年齢により保有状況が大きく変化する可能性がある。そのような状況下で経年変化を見ても、さほど大きな意味は無い。

一方で単身世帯の場合は、世帯主=世帯構成員全員であり、世帯主の属性や年齢による普及率動向の精査はそれなりに意味があると判断した次第。

↑ 男女・世代別スマートフォン普及率(単身世帯)
↑ 男女・世代別スマートフォン普及率(単身世帯)
↑ 男女・世代別タブレット型端末普及率(単身世帯)
↑ 男女・世代別タブレット型端末普及率(単身世帯)

男女別では双方とも男性の方が利用率は高い。これはいくつかの理由があり、「必要性」「デジタル機器の興味関心は男性の方が強い」「保有率が低い高齢層は女性の方が比率が高い」などによるもの。

スマートフォンではきれいな形で若年層ほど高普及率を示している。また直近年は前年と比べてほとんどの階層で上昇しているが、60代の伸び方には注目したいところ。

他方タブレット型端末だか、ややぶれが生じているものの、いずれの階層でも前年比で高い伸び率を見せている。50代では前年比で減退したが、これは2016年の過剰な伸びの反動によるものだろう。元々値が低いのも要因だが、スマートフォン以上に急激な上昇率を示している状況は注目に値する。来年以降の動向にも注目したい。

両端末のグラフを見直すと、年齢階層別では50代までと60代以降の間で大きな数字の差異が生じている事が分かる。これが単なる身体的な事情によるものなら差異は開いたままだが、端末と出会った時のタイミングによるものならば、今後ゆっくりと、そして確実にこの「差異の壁」は右側、つまり高齢層にシフトしていくはずだ。

どらちが正しいのかは、今後数年の動向で明らかになることだろう。もっとも明確化される前に、かつての従来型携帯電話からスマートフォンにシフトしたような、時代の選択を行く端末そのものに変化が生じる可能性もあるのだが。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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