記者会見では質問者には必ず自分の所属と名前を語った上で質問させ、議事録にもそのやりとりを明記させよう

↑ 記者会見の内容が報じられても、その実情や全体像を正しく伝えている保証は無い

記者会見では質問者自身の身元を明言してから質問するべし

記者会見の場では、質問者は必ず自分の所属・肩書と名前を語った上で質問をするよう徹底させ、議事録にも内容を明記させるべき。昨今の事案を受け、改めて感じたことを提言させていただく。

具体的には記者会見の場におけるルールとして

・質問者は必ず自分の所属・肩書と名前を語って身元を明らかにした上で質問をする

質問を受けた側はそれが正しく把握できたか否か反復して確認するのが望まれる

・質問者が身元を明らかにしない場合は、質問に答えなくともよい

を徹底させる。このルールを厳格化することで、議事録には各質問がどの人によってなされたかが明記されることになる。

公的機関の議事録では、委員会や協議会のような少数の特定招集者による会合のものでない限り、発言者側がどのような人なのかは特定する形で記載はされず、単に「記者」とのみで記述されるのが定例となっている。これは実際に文字起こしをしたことがある人なら分かると思うのだが、語り手の特定をした上で、その名前をセリフに紐づけするのは大変な苦労が必要になる。さらに語り手が身元を明らかにしていない場合、名前を記述することは不可能になる。

他方、議事録では語り手がどのような人物かを確認できるようになれば、色々と新たな事実が判明することもある。報道や論説記事において、掲載誌・場所だけでなく、書き手の名前を検索すると、さまざまな背景が把握でき、その上で記事を読み返すと文面の向こう側にあるものが見えてくる。それと同じである。情報開示の観点では、議事録はそうあるべきなのは言うまでもない。

公的議事録では質問者と質問内容の紐づけが難しい

2年ほど前に財務相の記者会見で海外記者とのやり取りが問題視された際に、財務省から発表された議事録のやり取りで、記者名が記載されておらず精査が困難となった時に、財務省に「議事録に記者名を明記してほしい。単なる『記者』だけでは、どの言及をどの記者が行ったのかが分からない」との問い合わせをしたことがある。しかしながら曖昧な回答しか戻って来かった。

↑ 財務省に問い合わせた際の返答メールの中身
↑ 財務省に問い合わせた際の返答メールの中身

そして結局今に至るまで状況に変わりは無い。おそらくは公的機関における議事録では、委員会や協議会のような少数の特定招集者による会合のものでない限り、発言者側がどのような人なのかは特定する形で記載はされず、例えば単に「記者」とのみで記述されるようだ。

そこで、質問の際に自らの所属と名前、つまり身元を語り明らかにすることで、それ自身も議事録に記録され、その後の発言がその人のものによることが明確化される。これならば議事録作成上の慣習を維持したままで、やりとりがより明確化される。そしてそのやり取りも議事録に明記すること。さらにいえば可及的速やかに映像の形で、無編集の上で動画による公開も望ましい(一部公共団体や企業ではすでに実施しているが)。

そもそも質疑応答の際、相手に自分の身元を明らかにする姿勢は、社会人としての当然のルールであり、報道関係者には特権として語らなくても良いとの特例があるわけではない。

記者は国民の代表にあらず、自称しているのみ

また今件のような指摘、提言に対し、「記者の質問は国民の質問であり総意である。記者は国民の代表だから何を語っても許されるし、個別の身元を明らかにする必要はない」との意見をいただく。しかしながら企業における記者会見ならいざ知らず、国務大臣や議員が対象の場合は、その人たち自身こそが国民の代表である。

そして言うまでもないのだが、質問者となる記者については国民の代表であるとの法的裏付けは無ければ、選挙などで選ばれた者でもない。あくまでも自称しているだけに過ぎないのである。

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※2017.04.06. 14:00 一部表記を統一しました