一日の平均歩数、男性は7000歩、女性は6000歩
健康維持のための運動でもっとも気軽に行えるのが歩行。今ではスマホ用の歩数計アプリも多数登場し、誰もが自分の歩数実情を把握できる。それでは人は平均でどれほど歩いているのだろうか。厚生労働省が2015年12月に発表した「平成26年国民健康・栄養調査結果の概要」などから確認していく。
一般に徒歩で行けると回答者自身で認識している距離は、歳を重ねるに連れて減少する。また健康の指針の一つ「健康日本21」では、成人男性9000歩・女性8500歩以上を一日の目安としている(ちなみに65歳以上の場合は男性7000歩、女性6000歩が目安で多少少ない設定となっている)。さらに世間一般的には区切りの良い「1日1万歩」を目標に歩くよう指示される場合も多い。
今回の調査結果では、直近の2014年分において20歳以上の一日平均の歩数は男性7043歩・女性6015歩となり、女性より男性の方が高い値が出ている。これは平均値だけでなく、各年齢階層別に見ても同様の結果が確認できる。
体力の減退などの理由から、歳を重ねるに連れて歩数が減っていくのは仕方のない話。他方、男性が30代をピークとして少しずつ減少するのに対し、女性は60代になって初めて減少傾向に移行しており、歩数の減り方に男女差が見られるのは興味深い。
男性の動向はピーク世代なども合わせ考えると、就業者による外出傾向が多分に影響しているものと考えられる。また女性において30代でへこみが生じるのは妊娠・出産で減るため、40代から50代にかけて再び増加するのは子育てとパート関連で歩く機会が増えるのが原因と推定される。この動きはここ数年来続いており、単にイレギュラー的なものではない。
ちなみに今回発表された「国民健康・栄養調査結果の概要」では、2003年以降の毎年の全体平均値も掲載されている。
何度かの起伏を繰り返しながら、中期的には漸減する動きを見せている。10年強の間に平均値は500歩前後ほど減っているが、これは交通網の発達に加え、全体に占める「高齢者」=「歩数が少ない人」の増加が要因として挙げられる。ただし若年層、具体的には20代に限れば、経年で減る傾向が確認できており、留意が必要なことに違いは無い。
この「高齢者の調査対象母集団比率増加に伴う、有意な平均値の減少」を鑑み、今回分(2014年調査分)からは「国民健康・栄養調査結果」の年次推移公開値のいくつかにおいて、年齢調整が成されたものも併記される形となった。これは2010年分の国勢調査結果における人口構成比を基準として、各年の値で補正を行ったもので、年齢階層別人口構成比の変化によるぶれを補正することができる。
男性は2004年から2008年にかけてやや減る動きがあるが、それ以降は横ばい。女性もほぼ横ばいで推移している。歩数平均値の減退が、実質的には高齢者の増加によるものであることが確認できる。
昨今では歩数計は数百円で手に入れることができる。スマートフォン用の歩数計アプリも山ほど登場し、多様な切り口でサポートをしてくれる。Ingress(イングレス)のように外歩きを促進させるデジタル世代の遊びも提唱されている。自分の歩数実態を把握し、「歩くこと」を健康管理の一環としてみてはいかがだろうか。
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