電子レンジやエアコン、普及率の変化を確認してみよう
日常生活を支える家電商品の中でも、今やごく当たり前のように存在するものとして挙げられるのが、電子レンジやルームエアコン。これらの家電はいつごろから「当り前」のものとなったのだろうか。総務省統計局が5年おきに調査・発表している全国消費実態調査の結果を元に確認していくことにする。
直近分となる2014年においては、ルームエアコンの世帯普及率は86.4%、電子レンジに至っては96.1%との結果が出ている。
エアコンはほぼ10世帯に9世帯、電子レンジは全世帯への普及状況。
エアコン、電子レンジ以外にも「昔はどれぐらいの普及率だったのか?」と気になる家電は少なくない。上のグラフなら、冷蔵庫や自動炊飯器、テレビなどが良い例だ。しかしそれらの多くは全国消費実態調査においては、調査年毎に項目の仕切りがばらばらだったり、存在そのものが確認できないなど、色々と問題がある。結局今回のように、ある程度過去までさかのぼれるのはエアコン、電子レンジのみとなった次第。
さらに全国消費実態調査では総世帯の値を公開したのはつい最近のこと。主要耐久消費財に関して単身世帯の値を公開し始めたのは1994年以降。また家電製品はそのライフスタイルを考慮すると二人以上世帯と単身世帯では別にした方が良い場合もあることから、今回は可能な限りでルームエアコンと電子レンジの世帯普及率をさかのぼり、二人以上・単身それぞれの値を抽出し、グラフ化した。
二人以上世帯では1984年時点は電子レンジもエアコンも、2世帯に1世帯程度の普及率でしかなかった。それが急上昇を見せ、10年後の1994年にはそれぞれ9割、8割にまで達する。前世紀末の1999年ではそれぞれ95.2%、84.2%にまで上昇し、電子レンジは夫婦世帯ではほぼすべてに行き届いた感はある。エアコンはさすがにまだ全世帯とまではいかないが、今世紀に入ってからも普及率の増加は続き、直近の2014年ではついに9割に届くことになった。
興味深いのは単身世帯。計測開始が1994年で少々タイミングとしては遅れているが、やはりルームエアコンの普及率上昇はゆっくりとしたもの。それでも前世紀末には6割に届き、さらに上昇は継続中。直近2014年では8割近い値に達している。最近では賃貸住宅でもエアコンが初期装備されている部屋も多く、地域によってはエアコンが無いと死活問題に陥る場合もあることから、たとえ一人暮らしでもエアコンが贅沢だ云々と言ってられない状況なのだろう。
また電子レンジは前世紀末ですでに3/4に届き、その後も上昇を継続。2009年には9割、直近2014年では92.4%にまで達し、やはりほぼ全世帯へ行きわたった感じではある。
「豊か」との言葉の定義は多種多様ではあるが、エアコンや電子レンジの実装との観点では、確実に生活は豊かになっている。それを実感させる値には違いない。
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