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米国でも進む少人数世帯化の実態

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 大家族の印象が強いアメリカ。その現状は……

家族観・社会観の変化や少子化に伴い、日本では世帯人数の減少、つまり少人数世帯化が進んでいる。日本から見れば大人数家族のイメージが強いアメリカ合衆国では、世帯人数はどのような状況にあるのだろうか。同国の国勢調査局による公開データを基に、その実態を確認していく。

次に示すのはアメリカにおける世帯数(同一居住単位に住む人の集合体)の、構成人数別推移。アメリカの人口自身は増加の一途にあるが(半世紀で2倍近くの増加)、それと共に当然世帯数も増加している。

↑ アメリカ合衆国における世帯構成人数別世帯数推移(万世帯)
↑ アメリカ合衆国における世帯構成人数別世帯数推移(万世帯)

一方で多人数世帯の増加よりも少人数世帯の増加の方が勢いが強い。この半世紀強の間に単身世帯はおよそ5倍、二人世帯は3倍に増加しているが、五人世帯は2割強の増加に留まっている。

日本の場合は人口の漸減と共に少人数世帯化が起きているが、アメリカでは人口増加と少人数世帯化が同時に生じている。しかしながら全世帯数に占める構成人数別世帯数比率動向を見ると、日本と同じような構造にあることが分かる。

↑ アメリカ合衆国における世帯構成人数別世帯数推移(全世帯数比)
↑ アメリカ合衆国における世帯構成人数別世帯数推移(全世帯数比)

少人数世帯、特に単身世帯は大きく増加。半世紀強で比率は倍増し、直近では単身世帯だけで全世帯数の3割に届きそう。二人世帯と合わせれば6割を超えてしまう。半世紀前までは4割強だったことを考えると、この半世紀で大きな世帯構造の変化が起きていることが確認できる。

世帯数の少人数化と並行する形で、一人暮らし世帯数も増加している。理由としては多々考えられるが、非婚・晩婚化、そして高齢者の増加などが多分を占めている。

↑ アメリカ合衆国における総世帯数に占める一人暮らし世帯率
↑ アメリカ合衆国における総世帯数に占める一人暮らし世帯率

直近2014年では27.7%、1/4強が一人身世帯。しかもこの値は緩やかではあるが確実に上昇過程にある。日本では2013年時点で一人身世帯は26.5%であることから、世帯数はともかく、全世帯に占める比率では、日本よりも一人身世帯化が進んでいることになる(!)。あるいは単身世帯対策に関して、先行するアメリカから何か学べることがあるかもしれない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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