男性1100円、女性は1000円…パートやアルバイトなどの時給相場を探る
正社員などのフルタイム出勤の労働者と異なり、1日の労働時間が短い、あるいは1週間あたりの労働日数が少ない労働者のことを「短時間労働者」と呼んでいる。このタイプの就労者はフルタイムと比べれば賃金は低く抑えられ、時給制が採用されている場合が多い。そこで厚生労働省が2015年2月に発表した「賃金構造基本統計調査」の最新版にあたる調査結果をもとに、短時間労働者の平均賃金について現状の分析を行うことにする。
雇用形態関連の分類は次の通り。
例えば「就業日はフルタイムでの出勤。出勤日は週3日」「就業日は一般労働者と同じ平日すべて。でも午後のみの出勤」の場合は「短時間労働者」に該当する。また契約社員の大部分は正社員と同じ時間帯で働くので「一般労働者」に該当するため、「短時間労働者」には該当しない。
2014年時点での男女・年齢階層別の短時間労働者における平均賃金(時給)をグラフ化したのが次の図。全体では男性1120円、女性1012円。全体的に女性より男性の方がいくぶん高い。
男性では40代後半まで上昇を続けているが、女性は30代後半で頭打ちとなり、以後漸減している。男女別のパート・アルバイトの需要の違いにもよるが、歳を経るにつれて就業可能なパートなどの職種の、男女における違いの表れでもある。
前年2013年からの額面変移を見たのが次のグラフ。
「中堅層で一部下落が起きているが、それ以外は概して上昇」「女性より男性の方が上昇幅が大きい」との動きが見受けられる。男性の50代前半以降で大幅な増加が確認できるが、早期退職制度の適用や定年退職で職を辞した人の、再雇用の動きによるところが大きいものと思われる(その場合には経歴や技術を買われての再雇用となるため、通常の時短労働と比べ、賃金は高めとなる)。
もっとも2014年は4月に消費税率が改定されており、今件各値はその適用後のものとなる。その影響を差し引いた実質的な平均賃金は、男性若年層と高齢層では上昇、それ以外では微妙な線といえる。
なおこれらの値はあくまでも全国平均であり、地域によって差があること、さらには上記で触れている通り最低賃金法との兼ね合わせもあることを忘れてはならない。
パートやアルバイトの短所は「昇進・昇給が難しい」「技術を習得するには向いていない」「正社員と比べてリストラの対象になりやすい」「福利厚生の面で不利」などが挙げられる(同時に雇用主にとっては、機動性が高く経営リソースを短期的には節約できる労働力の確保との観点においてメリットとなる)。一方で「時間の自由が効きやすい」「技術・資格を問われにくく就業しやすい」などの長所がある。
昨今では多分に無意味な「派遣叩き」が行われた結果、派遣業態は縮小の一途をたどり、一方でパートやアルバイトの求人は(条件の善し悪しを別にすれば)増加しつつある。直近の2014年においては派遣業態の人はやや増加したものの、それをはるかに上回る形でパートやアルバイトの人員は増加している。
世代構成の変化、そして高齢者への雇用上での優遇措置が取られる一方、他の先進諸国同様に若年層の失業率の上昇が、社会問題化している。パートやアルバイトに逃げざるを得ない者も多く、その動きは必然的に社会的地位の不安定さ、さらには高齢フリーター問題にも発展しうる。今回掲示した各種データが、今後どのように変化していくのか。各要素を連動・リンクさせながら考えねばなるまい。
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