20代が考える「家を買っても良い」と思う年収水準
「一国一城の主」の言葉に代表される通り、持ち家の取得は多くの人にとっては夢、憧れのまと。しかし金銭的ハードルの険しさは自家用車以上のもの。それでは社会を担い始めた20代にとって、持ち家取得を考えても良い年収水準はどれ位なのだろうか。SMBCコンシューマーファイナンスが2014年12月に発表した、20代を対象にした調査結果「20代の金銭感覚についての意識調査」から、その実情を確認していく。
次に示すグラフは、自分の年収(収入総額。税金や社会保険料込みの値)が幾ら位になれば、住宅の取得を考えても良いかとする額面。一時的では無く、経常的な意味での値であることに注意。例えば年収400万円に達した時点で取得しても良いと考える人は、年収500万円の条件でも当然取得したいと考える。400万円より500万円の方が、金銭的余裕は一層あると考えられるからだ。そこで各年収の仕切り別回答率に加え、累積の回答率も併記することにした。例えば300万円の累積回答率は12.5%だが、これは「年収を問わず所有したい」の6.7%、「200万円」の1.0%、「300万円」の4.8%をすべて足した結果である。
自宅は単価が高いだけでなく値幅も大きいため、想定している対象によって金額が大きく異なることから、上昇の度合いもゆるやか。同一調査で別項目にて精査している自動車に関する取得世帯年収では、累積回答率で7割超に達したのは年収500万円だったが、自宅では900万円に至る必要がある。同じ500万円では4割でしかない。もっとも、単独区分で一番高い回答率を示しているのは500万円であることから、「年収500万円」は若年層には「大きな買い物を想起する一つのきっかけ」になるものとして注目に値する。
他方、1000万円以上の回答率は16.2%もいる。「自宅所有は高嶺の花。よほどの年収でないと手に入らない」との考えの人も多いようだ。
住宅は得てして一生の買い物となるため、個々の環境によって所有動機は大きく変動する。年収はあくまでも要素の一つでしかない。一方で金銭上の問題が大きな影響を与えることも事実。消費の活性化を若年層に望むなら、それを後押しすべく、その世代の年収の底上げを推し量るべきだろう。お金を使え、でもお金を手に入れる環境は配慮しない、ではお話にならないのは言うまでもない。
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