2014年12月2日に公示、同年12月14日に施行される衆議院議員総選挙に絡み、これまでの国政選挙と同じく、いわゆる「一票の格差」問題が話題に登っている。これは議員一人当たりの有権者数が選挙区によって異なる、つまり一票の投票に関する重みに大きな差が生じている状況を良しとしない声の高まりである。

この格差に関して極力是正を求める意見がある一方、人口分布を考慮した場合、是正が推し進められると都市部に議席が集中し、平等ではあっても公平で無くなるとの意見・懸念も多い。そこで今回は各種データを基に、「一票の格差」を極力是正した場合、議席配分はどのような状況になるのかの試算を行うことにする。

現在小選挙区の議席定数は295人、比例代表区は180人。小選挙区制の議席配分は10年おきに国勢調査の結果を基に検証されることから、今回も直近の国勢調査(2010年調査)の結果を用い、都道府県単位での議席配分の検証を行う。

「一票の格差」を極力排するための議席配分算出方法は次の通り。

(1)総有権者数で総議席数(295議席)を割り、単純かつ公正な有権者あたりの議席数(A)を算出

(2)各都道府県別の有権者数に(A)を乗算し、単純議席割り当て数を算出。議席は小数点には成りえないので、小数点以下を切り捨てた上で配分する

(3)(2)をすべて足し、端数部分の切り捨てで生じるあまり議席数(現在の小選挙区における定数との差)について、(2)の小数点以下の値が高い選挙区から1議席ずつ配分していく

このルールに従い、議席を各都道府県に配分する。

まず現状における、衆議院議員小選挙区選挙の議席割り当ては次の通り。

↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数(現状)
↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数(現状)

そして国勢調査における人口分布を基に、都道府県別の選挙区で極力一票の格差を是正すると次の通りとなる。

↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数……有権者数による厳密議席数配分
↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数……有権者数による厳密議席数配分
↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数(現状から有権者数による厳密議席数配分への変化)
↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数(現状から有権者数による厳密議席数配分への変化)

「議席配分がゼロになる都道府県も登場するかも」との懸念は幸いにも現実のものとはならなかったが、鳥取県のように議席数が1の選挙区が生じてしまっている。

現状との差異を確認すると、議席数が増えるエリアは10、減るエリアは18。関東と近畿で大よそ増加を示し、それ以外の地域では減少する結果が出ている。東京都のプラス6議席、神奈川県のプラス3議席、愛知県のプラス2議席が目立つ。見方を変えると現状では、人口に対しそれらの地域の議席数は少なめに配分されていることになる。

ちなみに比例代表区ではブロック単位の議席配分で試算したところ、東北と九州ブロックでマイナス1議席、東京都ブロックでプラス2議席を行うことで、「一票の格差」が極力是正できる結果が出ている。

今件はあくまでも都道府県の是正試算のため、都道府県内部の「一票の格差」は別の話となる。また、議席定数は現状のままで試算されているため、例えばルール上の(2)で発生した小数点以下の部分を切り捨てたままで議席を決定すれば、295議席から270議席に減らすことが出来る。これでもなお「一票の格差」是正・平等感の遂行という大義名分は果たせるが、その分、地域別の不公平感は高まることになる。鳥取県や東京都の事例にあるように、地域単位での「国政へ声を届けるための代議士」の数に大きな隔たりが生じてしまう。

極端な話、仮に今件試案をそのまま適用すれば、東京都の衆議院議員小選挙区選挙の議席数は31議席、鳥取県は1議席。その差は実に31倍となる。人口比のみに重点を置いた決定が、すべてに優先されるべきなのか。よく言われる「平等と公平の違い」について、考える必要はあるのだろう。

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