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入院未体験者が思う入院の不安要素

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 相部屋での集団生活に慣れていない人にはその環境にも不安を覚えるかもしれない

最大の不安・心配はやはりお金

一定期間を日常社会から切り離された場で暮らすことになる病院への入院。文献や映像で、あるいは他人からの体験談などでその実態を見聞きしていても、いざ自分自身が入院となると不安に思うことも多い。その具体的な不安要素を、ライフネット生命保険が2014年9月に発表した「入院に関する調査結果」から確認していくことにする。

次に示すのは調査対象母集団のうち入院未体験者による、自分が入院する場合を想定した際の不安事項。9割近くの人が「入院や手術の費用」を挙げている。つまり金銭面での問題が最大の心配要因。

↑ もしも入院するとしたら心配なこと(複数回答、入院未経験者限定)
↑ もしも入院するとしたら心配なこと(複数回答、入院未経験者限定)

短期間で済めば負担もさほど気にならない額に収まることも多いが、長期間に及ぶ入院、さらには難しい治療を必要とする場合、医療費は巨額なものとなりかねない。高額療養費制度の適用や各種保険である程度は補完できるものの、全額が免除されるわけではなく、不安が募る。

「入院期間」も心配する人は多い。入院している間は行動の自由が利かず、これまでの日常生活から隔離される。世の中の動きに取り残され、自分がこれまで居た場所に穴を開けることになる。もちろん長期間になればなるほど金銭負担も増え、身体への負荷が大きいことも予想される。「職場復帰」「担当の仕事の状況」など他の複数項目とも連動する、大きな心配事に違いない。

自分が日常生活から切り離されている間の、残された周囲の人に対する心配も多種多様。最大の不安要因は「仕事」で、次いで「配偶者」「ペット」の順。順位にやや不満を感じる人もいるだろうが、これは回答者全体としての値であることに注意しなければならない。つまり子供を持たない人は心配事に「子供の世話」は回答するはずがなく、それだけ全体比としての回答率が下がる次第。

子供を持つ男女で大きな不安の違い

今件を子供を持つ人に限定し、さらに男女別に見たのが次のグラフ。

↑ もしも入院するとしたら心配なこと(複数回答、入院未経験者限定)(子供有、回答者の男女別)
↑ もしも入院するとしたら心配なこと(複数回答、入院未経験者限定)(子供有、回答者の男女別)

「子供の世話」、そして「配偶者が一人で生活できるか」のような回答者の割り振りの際の条件合致項目で高い値が示されている。男女別では男性が仕事関係の項目で女性より高い値を示す一方、家庭内に深い関わり合いのある項目、特に子供やペット、配偶者関連の項目で男性よりも女性において高い値が示されている。自分が今の家庭から一時的に抜けることで、どのような影響が生じるのかを考えた上で、心配をしているのだろう。

なお「配偶者・恋人の浮気」の項目は、女性の回答率はゼロ、男性は7.9%。子供の有り無しを問わず既婚者の仕切りで見ても、男性の方が高い値が示されている。自分の入院時における相方の浮気については、男性の方が心配を強く抱いているようだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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