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主食はごはんからパンに変わったのか!?

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今なおごはんは日本の一番な主食なのか!?

ごはん、パン、めん…どこまでが主食!?

準備の手間がかからないことや日持ちすること、すぐに食べられるなどのメリットを受け、日本でもパン食化が進んでいるとの話がある。実際、中堅層以降の食事、特に朝食ではパン食の事例が多い。大手コンビニの高級食パンの活況も、シニア層に受け入れられたのが一因とされるほど。

それでは現状は、主食としてごはん、パン、めん、いずれが一番の主食として食されているのだろうか。総務省統計局が統計、発表している家計調査の値(購入金額と購入頻度)から確認していくことにする。

対象世帯は総世帯。つまり単身世帯と二人以上世帯の双方。ごはん、パン、めんそれぞれについて、単独品以外に、それらを素材として用いた料理のうち「主食として食されているもの」かつ「区分が明確なもの」を加えていく。具体的には

・米(ごはん)

おにぎり・その他、すし(弁当)、すし(外食)

・パン

調理パン、ハンバーガー

・めん類

日本そば、うどん(外食)、中華そば(外食)、他のめん類外食

をカウントする。この他にも例えば中食で「弁当」が主食に該当しそうだが、ごはんもの以外にサンドイッチやパスタ、グラタンなどのようなものも少なからずあり、おかずも多分に含んでいるので、主食としての認定判断はやや難しく、さらに区分の特定化は不可能。そこでそれらは除外することにした。

まずは直近2013年分のみについて。こちらは支出金額と購入頻度双方を、各細部項目別にグラフ化する。

↑ 総世帯の平均支出金額(2013年、主食系3項目細分)(月次、円)
↑ 総世帯の平均支出金額(2013年、主食系3項目細分)(月次、円)
↑ 総世帯の平均購入頻度(2013年、主食系3項目細分)(月次)
↑ 総世帯の平均購入頻度(2013年、主食系3項目細分)(月次)

「米」の購入頻度が低いのは、数キロの袋単位で調達する購入スタイルのため。一食分ずつ買うわけでは無い。「パン」の購入頻度が高めだが、食パン以外にバターロールやコッペパン、フランスパン、さらにはアップルパンやあんぱん、コロネ、カレーパン、揚げパン、ピザパンなどまで含むため。一方「調理パン」は焼きそばパン、ホットドック、ハンバーガー(ハンバーガーショップ経由のものは「ハンバーガー(外食)」となる)などが該当する。「めん類」は「めん類」そのもの以外はすべて外食系。

購入頻度だけを見ると、パン類が圧倒的に多いように見える。ところが支出金額まで目を通すと、「米類」(ごはん)の金額の多さが目に留まる。特にすし系は単価が高いので、当然の話。

購入頻度は米の関係で単純加算はできないが、金額を各項目ごとに足していくと、それぞれ月次額としては

・おこめ……4081円

・パン……2575円

・めん類……2310円

となる。少なくとも金額の上では、日本の一番の主食は今なお、ごはん(系食品)で間違いない。

経年変化をたどる

それでは経年変移による、各主食系別にまとめた値の推移を見ていくことにする。購入スタイルが食品によってばらばらなため、購入頻度を単純に足し引きしても意味のある値は出てこないため、支出金額のみ、各系統別に合計する。2002年~2013年までの推移をグラフ化したのが次の図。

↑ 総世帯の平均支出金額(-2013年)(主食系3項目)(月次、円)
↑ 総世帯の平均支出金額(-2013年)(主食系3項目)(月次、円)

厳密には今回の試算では盛り込まなかった「弁当」もご飯物が多いことから、さらに「米類」(ごはん)は上乗せされることになる。このグラフを見る限り、今なお「ごはん」は主食の玉座を明け渡していないことがはっきりと分かる。

同時に「ごはん」類というまとめでも、支出金額が漸次減少中であること、そして「パン類」が少しずつ伸びており、あるいは10年単位の流れの中で両者の金額が逆転する可能性は十分にあることが予想できる。要は主食のパン食化が進んでいるということだ。ただしこの2、3年に限ると米類はわずかながら上昇、パン類は下落しており、微妙な変化も確認できる。

震災を機に、食生活を中心とした日常生活全般のスタイルに少しずつ、そして確かな変化が起きている。今件「幅広い範囲で見た主食動向」で、今後はどのような動きを示していくのだろうか。今後の動向が気になるところではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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