1日足らずで再生回数1万件超…日本海呼称問題で外務省がYouTubeに解説動画を掲載
「日本海は日本海」解説動画を外務省が公開
昨今ではようやく日本の各省庁もYouTubeなどの動画共有サイトを広報喧伝の場と認知し、大臣などの記者会見の様子や部局の活動の状況、さらには対外広報宣伝用の動画を作成し、公開をはじめている。昨年、北方領土や竹島、尖閣諸島など日本周辺の領土絡みで問題視されている案件について相次ぎ公知動画を作成、公開し、さらには多国語版の展開も実施して話題を集めた外務省だが、今度はいわゆる「日本海呼称問題」とされる問題についての映像を作成、公開を実施した。
これは今問題に関する周知・喧伝動画で、日本海を他の名称で呼び、その呼び方を他国にも行うよう声高に主張する一部の国の動きに対し、「日本海」の名称の正当性に関する数々の裏付けを多方面からの資料やデータなど基に、淡々とつづっている。
元々外務省公式サイト内の「各国・地域情勢、日本海呼称問題」ページでは3本に分割する形で計13分ほどの長さの動画が内部的に置かれ、そのページからのみ閲覧できるようになっていた。今回YouTube上で公開されたのは、その3本を長さ5分半程にして1本にまとめたもの。また、ブログなどに貼りつけることができるようにHTMLコードの出力が許可されている。
現時点で確認できるのは日本語版のみ。しかし外務省では昨今、外交問題、特に領土問題に関する対外アピール用の動画に関しては、先行して日本語版を開示し、その後に英語版、さらには多種多様な各国言語版を展開する方針を実施している(「話題の竹島・尖閣諸島公式広報動画、外務省が公開中」)。今件動画もしばらく後に、英語版をはじめとした各国言語版が登場するものと見て良い。
今件動画は掲載からまだ1日も経過していないが、すでに1万4000件を超える再生数が確認されており、その注目・関心度の高さがうかがえる。
ネット媒体による積極的な展開が求められている
内閣府では昨年竹島、尖閣諸島、北方領土など日本の周辺で生じている領土関係の事象について相次ぎ特別世論調査を実施し、その結果を発表している。その調査結果によれば、今後の啓蒙活動においてはテレビや新聞など従来型のメディアの活用に加え、ウェブサイトなどのネット媒体を利用した取り組みにも期待が寄せられている。
動画により切り口は新聞やテレビと比べると視聴ハードルが高いものの、動画の質が良ければより強い訴求力を持ち、確かな印象を視聴側に刻むことになる。また動画共有サイトに公開することで関連映像や検索結果を介した視聴機会が増え、さらにブログなどに貼りつけるためのHTMLコードの公開により、ブログ・サイトを介した情報の頒布が期待できる(インターネット経由による口コミ、デジタル口コミ)。対外周知を責務とする外務省の、啓蒙・公知用動画としては、打ってつけの手法と言える。
リソースの絶対量や優先順位の問題もあるが、今後も積極的に動画を用いた公知活動を外交手法の一つとして推し進めてほしいものである。またYouTubeに限らず国内向けならニコ動、海外向けならDailyMotoionやVimeoなどにも展開し、より幅広い層への周知が望まれよう。
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